アリアンツ・リスクバロメーター 2025 年の主なビジネスリスクの特定 PDF Free Download

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アリアンツ・リスクバロメーター 2025 年の主なビジネスリスクの特定 PDF Free Download

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ALLIANZ COMMERCIAL
アリアンツ・リスクバロメーター
2025 年の主なビジネスリスクの特定
100 以上の国や地域の 3,700 人以上のリスクマネジメント専門家が、
今後 1年間に企業が最も懸念する重要事項のランキングを行いました。
ALLIANZ RISK BAROMETER 2025
|
ALLIANZ COMMERCIAL
分析方法
今回で 14 回目となるアリアンツ・リスクバロメータでは、106 の国や地域3,778 人の回答者の意見
を取りまとめました。この年次企業リスク調査は、アリアンツのお客様(グローバルに事業展開する企
業)、ブローカー、および各種業界団体を対象に行ったものです。さらに、Allianz Commercial をはじめ
とするアリアンツ・グループ会社の企業保険部門のリスクコンサルタント、保険引受人、シニアマネジャ
ー、クレーム専任者等のリスクマネジメント専門家も調査の対象としています。
回答者への調査2024 10 月から 11 にかけて実施し、大企業をはじめ中小企業も調査対象としてい
ます。回答者には特に知見の深い業界を選択していただき、各業種について最大 3つの最重要リスクを挙げ
ていただきました。
回答は大企業(年間収益 5億ドル超)に関するものが大半で(1,747 件、46%)、中堅企業(年間収益 1
億~5億ドル)に関しては 936 件(25%)、中小企業(1億ドル未満)に関しては 1,095 件(29%)の回
答が寄せられています。また、24 産業セクターのリスク専門家も参加しています。
アリアンツ・リスクバロメーターおけるランキングの変化は、パーセンテージの前年比ではなく、前年と
比べた順位によって決定されています。
地域、国、業種ごとのすべてのリスクデータはこちら
3,778
106 24
の回答者 の国と産業 の産業セクター
アリアンツ・リスバロメーター別冊の調査結果報告書に掲載されるためには、国および産業セクターごとに、少なくとも 15 人の回答者が必要です。
ALLIANZ RISK BAROMETE
2025 | ALLIANZ COMMERCIAL
2
ALLIANZ RISK BAROMETER 2025
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もくじ
4ページ
世界の最重要ビジネスリスク
5ページ
高まったリスクと低下したリスク
リスク動向まとめ
9ページ
世界各国の上位リスク
11 ページ
世界の上位リスクの概要
12 ページ
1. サイバーインシデント
15 ページ
2. 事業中断
22 ページ
3. 自然災害
25 ページ
4. 法規制の変化
28 ページ
5. 気候変動
32 ページ
6. 火災/爆発
34 ページ
7. マクロ経済の動向
36 ページ
倒産の見通し
37 ページ
8. 市場動向
39 ページ
9. 政治リスク/暴力
42 ページ
10. 新テクノロジー
44 ページ
企業規模別の上位リスク
3
ALLIANZ RISK BAROMETER 2025
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2025
世界の
最重要
ビジネスリスク
事業中断
(サプライチェーンの混乱を含む)
自然災害
暴風雨、洪水、地震、 山林火災、
異常気象など)
法規制の変化
(新たな指令、保護主義、環境、社会、ガバナ
ンス、サステナビリティ関連要件など)
気候変動
(地球温暖化による物理的なリス
ク、業務リスク、財政リスクなど)
火災/爆発
(インフレ、デフレ、金融政策、
緊縮財政など)
市場動向 1
(競争の激化/新規参入者、
M&A、市場停滞、市場変動など)
政治リスク/暴力
(政情不安、戦争、テロ、クーデター、
市民不安、ストライキ、暴動、略奪など
新テクノロジー
(人工知能、コネクテッドマシン/自律マシン
によるリスクの影響など)
凡例
2024 年よりもリスクが高い
2024 年よりもリスクが低い
2024 年から変化なし
5%2024 年のリスクランキング%
出典:Allianz Commercial
数字は、回答者 3,778 人が全調査回答で選択したリスクの数をパ
ーセンテージで表したものです。また、リスクは業種ごとに全回
答者が最大で 3つまで選択可能であるため、数字を合算しても
100%とはなりません。
NEW新たにトップ 10 に加わったリスク
14 回アリアンツ・リスクバロメーター調査は、アリ
アンツの顧客(グローバル企業)、ブローカー、およ
各種業界団体を対象に行ったものです。さらに、
Allianz Commercial をはじめとするアリアンツ・グ
ープ会社の企業保険部門のリスクコンサルタント、保
引受人、シニアマネジャー、クレーム専任者も調査の
象としています。
アリアンツ・リスクバロメーター2025 年の全ランキン
グはこちら
1 市場動向は、実回答数では政治リスク/暴力を上回ります。
サイバーインシデント
(サイバー犯罪、IT ネットワークや業務の混乱マルウェア/
ランサムウェア、データ侵害、罰金、罰則など)
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高まったリスクと低下したリスク
リスク動向まとめ
サイバーインシデント(回答の 38%)は、2025 年の
世界各国最大のリスクであり、2位の事業中断を 7%
いう大差で上回っています。サイバーが 1位になるの
は、2020 年に初めてトップにランキングされてから今
回で 4年連続となりますが、10 年前の世界ランキング
では、回答のわずか 12%を占め 8位でした。
2025 年は、ヨーロッパ、北米、南米、アフリカ、中東
地域、および次の 20 か国で最大のリスクとなっていま
す:アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、ブラジ
ル(新)、コロンビア(新)、フランス、ドイツ、イン
ド、イタリア、ケニア、モーリシャス、モロッコ
(新)、ナイジェリア、フィリピン(新)、ポルトガ
ル、南アフリカ(新)、スイス、ウガンダ、英国、米
国。
また、次の 8つの業界でもトップリスクとなっていま
す:航空(新)、化学(新)、エンターテインメント
(新)、金融サービス、メディア、専門サービス、テク
ノロジー、通信。
企業がリスクをはらむものとして最も恐れるのはデータ
侵害の影響です。大企業、中堅企業、そして中小企業に
至るまで、サイバーは最大のリスクとなっています。
アリアンツ・リスクバロメーター2位にランクイン
しているのは事業中断で、過去 10 年にわたり 2位を
下回ったことがありません。アジア太平洋地域(新)
およびオーストリア(新)、カナダ、中国(新)、香
港(新)、インドネシア(新)、マレーシア、メキシ
コ(新)、オランダ、フィリピン(新)、シンガポー
ル、韓国、スウェーデン(新)の 12 国や地域でトッ
プリスクとして挙がっています。
また、次の 11 の業界でもトップリスクとなっていま
す:消費財(新)、エンターテインメント、食品/
料、重工業、ホスピタリティ(新)、製造(自動車お
よびその他)、石油/ガス、電力/公共事業、再生可能エ
ネルギー、運輸/物流(新)。
企業が事業中断のリスクをはらむものとして最も警戒
するのは、サイバーインシデントや自然災害の影響で
す。回答者によれば、企業がサプライチェーンのリス
クを軽減し、レジリエンスを高めるために行っている
最も重要な行動は、代替/複数のサプライヤーの開拓、
地政学的動向に対応するためのサプライヤーネットワ
ークの地理的多様化の強化、および事業継続管理の実
/改善です。
気候変動は、アリアンツ・リスクバロメーター過去最
高の 5位(2024 年は 7位)にランキングされており、
初めて 5大リスクに加わっています。これと密接な関係
にある自然災害の危険は、今年も 3位に入り、これを選
択した回答者数は前年の調査を上回っています。新型コ
ロナパンデミックの禍中、企業が差し迫った問題の対応
に追われる中、気候変動リスクのランキングは下がりま
したが、コロナ後は再び気候変動に注目が集まっていま
す。
気候関連の物理的リスクの開示を定めた規制の遵守に伴
うコスト増や、異常気象や生態系の劣化による業務の混
乱を受け、多くの企業で気候変動へのレジリエンス対策
を導入する必要性の認識が高まっています。
回答者によれば、企業が最も懸念する気候変動の 3つの
主な影響は、深刻な物理的影響(異常気象による生産拠
点への被害など)、事業中断の影響(サプライチェーン
のボトルネック、異常気象による物流の混乱など)、環
境への影響(極端な寒暑、資源不足、生物多様性の損失
など)となっています。
環境、社会、ガバナンス(ESGとサステナビリティ関
連リスクの動向の中で最も懸念されているのが、気候変
動移行(脱炭素化やネットゼロ戦略など)におけるリス
ク管理で、サイバーセキュリティのレジリエンスと、
ESG/サステナビリティ関連の規制および開示要件の増
加がこれに続きます。
また、企業が気候変動の直接的な影響を軽減するために
取り入れている上位 3つの対策は、保険保護の適応また
は強化(代替リスク移転を含む)、炭素削減ビジネスモ
デルの採用(リサイクルと廃棄物の削減、持続可能な移
動の奨励、より持続可能なサプライチェーンの開拓な
ど)、および気候関連の不測の事態に備えた緊急時対応
計画の策定(対応と復旧、重要システムとリソースの評
価など)となっています。
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2023 年には 6位だった自然災害リスクですが、自然
災害による保険損害が 1,000 億ドルを超えるのが
2024 年で 5年連続となることから、2025 年に 3
にランキングされていることに不思議はありません。
自然災害は、オーストリア、クロアチア、ギリシャ、
香港、日本、ルーマニア、スロベニア、スペイン、ト
ルコの 9つの国と地域で最大のリスクとなっており、
建設と海運関連リスクのランキングを上回っていま
す。
法規制の変化は、世界ランキングで 4位を保ってい
るものの、前年比で回答数は大幅に増加しています。
欧州ではサステナビリティ報告の要件が重要議題とな
っている一方で、米国では特に暗号通貨や人工知
AI)に関して大仰ともいえる発表が行われており、
これに行動が伴えば「規制の無法地帯」になるリスク
もあります。
市場動向(競争の激化、新規参入M&A、市場停滞、
市場変動など)8位に上昇しています。企業は 2
連続で市場の動向に懸念を示していますが、2025
に株式市場が調整局面に入る可能性は低いと思われま
す。とはいえ、導入が予想される関税障壁は、M&A
はじめ、さまざまな分野に影響を及ぼす可能性があり
ます。
政治リスク/暴力は前年から順位 1つ後退して 9
となっていますが、これをリスクに挙げた回答者の割
合は 2024 年と変わりません。その一方で、政治リス
ク/暴力が 5位以上にランクインしているフランスや
英国などでは割合が前年よりも大きくなっており、コ
ートジボワールでは最大のリスクとなっています。大
企業では前年よりも懸念の高いリスクとして 7位にラ
ンキングされており、中小企業でも 10 位でリスクト
ップ 10 に新たにランクインしています
企業が最も恐れるリスクは社会不安や暴動の影響で、
戦争、サプライチェーンへの影響がこれに続きます。
テロや妨害行為のリスクも順位を上げています。
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2025 年に世界のリスクトップ 10 に新たに加わった
ものとしては、人工知能(AI)などの新テクノロジー
のリスクの影響があります。とはいえ、AI はリスクよ
りもメリットのほうが大きいと考える回答者が 50%
に上り、その逆だと考える回答者はわずか 15%にと
どまりました。AI が自身の業界に及ぼす影響について
「どちらでもない」とした回答者 35%でした。
熟練労働力の不足は世界のリスクトップ 10 から外れ
11 位となっています。エネルギー危機は、2023
年に 4位でピークに達して以降、順位が下がり続けて
今年は 13 位となっています。重要インフラの途絶
12 位)と倒産リスク16 位)は浮上しています
が、トップ 10 に入るほどは上がっていません。
企業規模別のリスク:大企業(年間収益 5億ドル超)
にとっての主なリスクは、世界のリスクランキングと
ほぼ変わりなく、サイバーインシデント、事業中断、
自然災害となっています。
中小企業(年間収益 1億ドル未満)では、法規制の変
5位から 2位に上がっています。また、これまで
大企業を悩ませてきたようなリスクの幾つかが、中小
企業にも及び始めている兆候が見られます。気候変動
は順位を 3つ上げて 6位となり、政治リスク/暴力
10 位でリスクトップ 10 に新たに加わっています。
マクロ経済の動向は世界ランキングでは 7位で、前年
から順位が 2つ後退していますが、しかし、アフリカ
の企業では 3位にランクインしており、大きな懸念事
項となっています。アフリカでは盗難、詐欺、汚職、
重要インフラの途絶も、他地域の企業に比べて大きな
懸念となっています。
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オーストラリア
1 サイバー
2 法規制の変化
3 自然災害
ビジネス上の最大の懸念事項はサイバ
ー。法規制の変化、気候変動(6位)、
新テクノロジーの影響(8位)は
いずれもリスクトップ 10
内の上昇傾向リスク。
ブラジル
1 サイバー
2 気候変動
3 自然災害
サイバーが新たに最大の懸念事項に。自
然災害と火災(5位)は前年から順位を
上げ、市場動向(6位)と停電(9位)
がともにリスクトップ 10 に新登場。
カナダ
1 事業中断
2 自然災害
3 サイバー
リスクトップ 10 では気候変動(4位)が
順位を上げ、法規制の変化(5)、マク
ロ経済の動向(8)、新テクノロジ
9位)が新たにリスクトップ 10 入り。
中国
1 事業中断
2 法律の変化
3 市場動向
事業中断が新たにトップリスクに。製品
リコール(8位)と停電(9位)がリス
クトップ 10 に新登場。
コロンビア
1 サイバー
2 事業中断
3 自然災害
サイバーが新たにトップリスクに。法
規制の変化(4位)と新テクノロジ
10 位)が新たにリスクトップ 10
り。
フランス
1 サイバー
2 事業中断
2 自然災害
政治リスク/暴力が 4位に浮上し、市場
動向(8位)、破産(9位)、環境リス
ク(10 位)が新たにリスクトップ 10
り。
ドイツ
1 サイバー
2 事業中断
3 自然災害
リスクトップ 10 内で火災が 5位に、政
治リスク/暴力は 6位に浮上。市場動向
9位)、停電(10 位)が新たにリスク
トップ 10 入り。
インド
1 サイバー
2 事業中断
3 気候変動
サイバーが 8年連続で最大の脅威に。リ
スクトップ 10 内で気候変動と法規制
変化(5位)が浮上。環境リスク(7
位)とエネルギー危機(10 位)が新た
にリスクトップ 10 入り。
イタリア
1 サイバー
2 自然災害
3 事業中断
法規制の変化(6位)、停電(8位)、新
テクノロジー(9位)、火災(10 位)
が新たに
リスクトップ 10 入り。
日本
1 自然災害
2 サイバー
3 事業中断
自然災害が新たにトップリスクに。火災(4
位)、法規制の変化(6位)、環境リスク
9位)はいずれも上昇。新テクノロジー
6位)が新たにリスクトップ 10 入り。
ナイジェリア
1 サイバー
2 マクロ経済の動向
3 法規制の変化
停電が 4位で新たにリスクトップ 10
入り。事業中断(5位)も前年から上
昇。ああああああ
シンガポール
1 事業中断
2 サイバー
3 法規制の変化
法規制の変化が前年から順位を 3つ上
げ、政治リスク/暴力が 9位に浮上。
南アフリカ
1 サイバー
2 事業中断
3 自然災害
サイバーが新たにトップリスクに。熟練
労働力の不足(9位)とマクロ経済の動
向(10 位)がリスクトップ 10
新登場。
スペイン
1 火災
1 自然災害
3 事業中断
火災と自然災害が同率で新たにトップリ
スクに。法規制の変化(5位)と政治リ
スク/暴力(8位)は
前年の順位から上昇。
英国
1 サイバー
2 事業中断
3 法規制の変化
法規制の変化が 3位に上昇。政治リスク
/暴力は 4位に上昇。新テクノロジーの
リスク影響が 5位に上昇。
米国
1 サイバー
2 自然災害
3 事業中断
企業の懸念事項トップ 10 でこの他に順位
を上げたリスクは、法規制の変化4
)
市場動向(5)、新テクノロジーのリス
クの影響(6位)。
アリアンツ・リスクロメーター 2025
世界各国の上位リス
国、地域、および業種別の全リスクデータはこちら
こちらの図には、一部選択した国々3大リスクと、これらのリスクの重要度が 12 ヶ月前と比べて増減
しているか、または変化がないかを示しました。
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世界の上位リスクの概要
アリアンツ・リスクロメーター2025 では、サイバー、事業中断、自然災害が世界各国の企
業が最も懸念するリスクとなっています。変化の激しさと相互関連性がますます高まるリスク
環境にあって、企業とその保険パートナーはリスクを総体的に捉え、継続的なレジリエンスへ
のリソースの投入とレジリエンスの構築を、短期的な性格を持つビジネス上の意思決定、世界
情勢、生活費危機などにより、そうすることがこれまで以上に困難になったとしても、進める
必要があります。
アリアンツ・リスクバロメーターでは、106 の国と地
域のリスク管理専門家(過去最高 3,778 人)の回答
を通じて、企業が今後 1年間で最も懸念する重事項を
追跡しました。
回答数の割合が過去最高となったイバーインシデン
(回答の 38%2位との差は過去最高の 7%ポイン
ト)のトップリスクとしての位置づけは揺らぎません
が、新技術と AI(人工知能)分野の動向が 10 位と、
世界のリスクトップ 10 に新たに加わっていることは注
目に値します。サイバーと密接な関係にある事業中断
2位(31%)にランクインしており、もう一つの関
連リスクである 3位(29%)の自然災害をわずかに上
回っています。
気候変動2025 年の大きな懸案事項の一つです。世
界のリスクトップ 10 内で最も大きな動きを見せた気候
変動は、順位を 2つ上げて 5位(19%)にランクイン
しており、これまで 14 年間の調査で最高順位となりま
した。企業は多くの課題に直面しています。気候や自
然に関連するリスクが高まり続けるなか、気候変動移
行のリスクの管理、気候関連の物理的リスクの開示を
定めた規制の遵守に伴うコストの増大、あるいは異常
気象や生態系の劣化によって引き起こされる業務の混
乱など、財務上の影響はますます高まっていきます。
サステナビリティと新技術の登場に関連した規制の動
向を反映して、法規制の変化25%)も今年は前年よ
りも多くの回答を集め、世界のリスクの 4位を維持し
ています。
複雑化と相互依存性がますます高まる上位リスク
地政学的、経済的な不確実性が高く、リスク環境が変
化する中にあって、サイバー、事業中断、自然災害と
いう 3大リスクだけでなく、トッ 10 内の他の多くの
リスクも、特に複雑で予測ができず、相互依存性も高
いのです。
「今年のアリアンツ・リスクバロメーターで際立って
いるのは、上位リスクの相互関連性です。あるリスク
分野で何らかの変化があると、それが実はリスクの緩
和対策の実施であっても、別のリスク分野に連鎖的に
影響が生じる可能性があります。気候変動、新興テク
ノロジー、規制、地政学関連のリスクがますます絡み
合うようになってきており、原因と結果の複雑なネッ
トワークを形成しています」と話すのは、Michael
BruchGlobal Head of Risk Advisory Services,
Allianz Commercialです。
変化の激しさと相互関連性がますます高まる今日のリ
スク環境においては、企業はリスク管理に対して総体
的なアプローチで臨み、絶えずレジリエンスを高める
ことに努める必要があると Bruch は付け加えます。
「昨年スペインで発生した壊滅的な洪水などの異常気
象、地政学的紛争の増加、そして CrowdStrike の障害
のようなサイバーインシデントは、より強固なレジリ
エンスの構築を続ける必要があることを示していま
す。今後はレジリエンスが重要なテーマとなっていき
ます」。
「人の記憶は短く、過去の出来事を短期間で忘れてし
まい、行動の変化を起こさないことが多いのです。パ
ンデミックから貴重な教訓を得て、多くの企業がレジ
リエンス強化策を講じましたが、現在の世界情勢や生
活費危機への対応に追われ、レジリエンス強化の優先
順位が下がってしまうのではないかと懸念していま
す。実際には、レジリエンスはこれまで以上に重要に
なってきているのです」。
11
サイバーインシデント
サイバー犯罪、IT ネットワークや業務の混乱、マルウェア
/ランサムウェア、データ侵害、罰金、罰則など)
これまでのランキング:
比増
前年比減
変化なし
アルゼンチン
オーストラリア
ベルギー
ブラジル
コロンビア
フランス
ドイツ
インド
イタリア
ケニア
モーリシャス
モロッコ
ナイジェリア
フィリピン
ポルトガル
南アフリカ
スイス
ウガンダ
英国
米国
国で最大のリスク:
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ALLIANZ RISK BAROMETER 2025 | ALLIANZCOMMERCIAL
サイバーリスクへの懸念の高まり
ランサムウェア攻撃、データ侵害、IT 障害などのサイ
バーインシデントは、2025 年の世界のトップリスクで
あり、4年連続で 1位となっています。回答数に占め
るサイバーリスクの割合は 10 前はわずか 12%で、
世界ランキングでは 8位に留まりましたが、2025 年の
回答の割合は 38%にまで上昇しています。
「多くの企業にとって、AI の急速な発展によって増長
されるサイバーリスクは、まさに他のどのリスクをも
凌駕する大きなリスクなのです」 Rishi Baviskar
Global Head of Cyber Risk Consulting, Allianz
Commercial言います。「懸念は世界中で広がっ
ています。サイバーは南北アメリカ、ヨーロッパ、ア
フリカ全体で最大のリスクに挙がっており、先進国と
新興国を併せて 20 か国で最大のリスクとなっていま
す」。
オーストラリア、フランス、ドイツ、インド、イタリ
ア、ポルトガル、英国などの国で最大のリスクに挙が
っている他、ブラジル、コロンビア、フィリピン、モ
ロッコ、南アフリカでは新たに最大のリスクとなって
います。大企業、中堅企業、そして中小企業でも最大
のリスクとなっており、航空、化学、エンターテイン
メントなど、さまざまな業界の回答者がサイバーリス
クを 1位に挙げています。金融サービスやメディア、
そして法律、テクノロジー、通信などの専門サービス
分野でも、サイバーが最も懸念されるリスクとして位
置づけられています。
昨年もランサムウェア攻撃が継続的に起きており、企
業に対する人質効果を高めるために機密データを標的
とする攻撃が増えています。サイバー保険損害の最大
の要因は今もランサムウェア攻撃であり、2024 1
6月にかけての大規模サイバー保険金請求(100 万ユ
ーロ超)の 58%をランサムウェアが占めていたことが
Allianz Commercial の分析で明らかになっています。
データ侵害は、企業が最も恐れるサイバーリスクです
(図を参照)。「サイバー保険請求においてデータ侵
害による損害の重要性が高まってきている背景には、
いくつかの注目すべき傾向があります」と話すのは、
Michael DaumGlobal Head of Cyber Claims,
Allianz Commercialです。
「データ流出を伴うランサムウェア攻撃が増えている
背景には、攻撃者の戦術が変化していること、そして
これまで以上に大量の個人記録を組織間で共有する相
互依存関係が高まっていることがあります。同時に、
規制や法律環境の変化により、個人データの不正な収
集や処理などの事件に起因する、いわゆる『非攻撃
型』のデータプライバシー関連の集団訴訟も増加して
おり、こうした請求の割合は過去 2年だけで 3倍に増
加しています」
13
貴社が最も懸念するサイバーリスクは?
回答トップ 5
重要インフラや物的資産に対
するサイバー攻撃
マルウェア/ランサムウェア
攻撃の増加
デジタルサプライチェーン、
クラウド/サービスプラット
フォームの障害による混乱
ビジネスメールのなりすまし
攻撃の増加
出典:Allianz Commercial
数字は、そのリスクが全回答のうちどのくらいの頻度で選択されたかをパーセンテージで表したもの
です。回答者数 1,450
また、リスク最大3つま選択可能あるため、数字を合算しても 100%とはなりません。
データ漏洩
Daniel MullerEmerging Risks and Trends
Manager, Allianz Commercialによれば、テクノ
ロジーへの依存度が高まり、AI がますます多くの製品
やサービスに組み込まれるにつれて、サイバーは今後
も法人にとって最大のリスクであり続ける可能性が高
いとのことです。「テクノロジーの進歩、接続性の向
上、ネットワーク速度の高速化、リモートワークや e
コマースの拡大により、データ侵害やランサムウェア
攻撃などのサイバーリスクも今後高まり続けるでしょ
う。AI はこうした脅威をさらに増幅し加速させる一方
で、サイバーセキュリティ対策の強化に活用できる可
能性も秘めており、デジタル環境の諸刃の剣となりま
す」。
サイバーは、アリアンツ・リスクバロメーターで上位
に挙げるいくつかのリスクと重なる部分もあります。
回答者によれば、企業が最も恐れる事業中断の原因と
して挙げるのはサイバーインシデントです。企業が懸
念する ESG/サステナビリティ関連のリスクでは、
候変動移行の課題に次いで 2番目となっています。
AI:新たに加わった新テクノロジー
新テクノロジーの影響はサイバーと密接に関連してい
ます。新テクノロジーは世界の 2025 年リスクトップ
10 10 位で新たに加わったリスクでOpenAI によ
2022 年の Chat GPT の公開以降の AI 技術の急速な
発展と応用がその上昇の動力となりました。もちろ
ん、AI は数多くのメリットと、プロセスや効率性の向
上を実現することになりますが、これまでにはなかっ
た数多くのリスクも伴うため、5年の間世界トップ 10
の番外にランキングされていた新テクノロジーのリス
クが、再び多くの企業の注目を集めるようになってき
ています。
AI は急速に進歩しているので、企業には AI を導入し
ないという選択肢はほとんどありません。躊躇すれば
競合他社に遅れをとり、貴重な機会を逃すリスクがあ
ります。これまでの技術開発は緩やかに進んできたも
のの、今日の AI 環境の変化は急速で、規制や法律の遅
れも相まって、迅速な導入が求められています。これ
がニューノーマルなのです」と Muller は言います。
AI のメリットがリスクを総合的に上回るかどうかにつ
いては、まだ結論は出ていないようです。AI が自身の
業界に及ぼす影響について回答者に尋ねたところ、
50%がリスクよりもメリットの方が大きいと回答し
おり、35%が「どちらでもない」、15%がメリットよ
りもリスクの方が大きいと回答しています。
Baviskar によれば、AI ではリスクと見返りのバラ
スを取る必要があるということです。「サイバーリス
クを見てみましょう。AI は、混乱を引き起こしたり、
誤情報を広めたりする目的で犯罪者や国家によって利
用されている一方で、リスクの軽減、レジリエンスの
構築に役に立つツールでもあるのです。AI はプロセス
と生産性の向上の一助となりますが、従業員にも影響
があり、倫理、プライバシー、サイバーセキュリティ
などの面でも未解決の課題が残されています」。
AI の応用はリスクの防止や軽減に役立つ一方で、意図
しない結果が生じる可能性もある Bruch は付け加え
ます。「AI を利用することでエネルギーの生成、伝
送、消費の効率を高めることできるので、排出量の削
減、ネットゼロへの移行をサポートするソリューショ
ンの開発において重要な役割を果たします。ただし、
AI 自体がかなりの計算能力とエネルギーを必要とする
ことにも注意することが重要です」
「緩和措置が新たな問題を引き起こしたり、当初の目
的達成に逆効果になることもあります。これは今後大
きな課題となるので、企業はこれらのリスクとリスク
防止対策を総体的に管理する必要があります。AI を活
用したソリューションが、リスクを例えば気候変動
関連のリスクを意図せず増大させてしまわないよう
にすることが重要です」。
14
サイバーセキュリティの
レジリエンス 2024
データ侵害とプライバシ
ーリスクの動向
ダウンロード↘
サイバーセキュリティのレジリエンス
データ侵害とプライバシーリスク
動向
ALLIANZ RISK BAROMETER 2025 | ALLIANZ COMMERCIAL
事業中断
(サプライチェーンの混乱を含む)
これまでのランキング:
前年比増
前年比減
変化なし
オーストリア
カナダ
中国
香港
インドネシア
マレーシア
メキシコ
オランダ
フィリピン
シンガポール
韓国
スウェーデン
次の国で最大のリスク:
ALLIANZ RISK BAROMETER 2025
|
ALLIANZ COMMERCIAL
L
15
事業中断の懸念を呼ぶ相互接続性
事業中断(BI)は、過去 10 年間アリアンツ・リスク
バロメーターで毎年 1位か 2位にランクインしていま
す。このリスクが繰り返し上位にランキングされる事
実は、パンデミック中とパンデミック後の深刻なサプ
ライチェーンの混乱を反映しています。事業中断は、
アリアンツ・リスクバロメーターげる多くの主要
リスクと密接に関連しており、自然災害、サイバー攻
撃や停電、破産、紛争や市民不安などの政治リスクな
どがその引き金となるのが通常です
今年はアジア太平洋地域で新たにトップリスクとな
り、これがトップリスクとなってい 12 の国と地域の
うち、2025 年に新たにトップリスクとなった国が 7
国あります(オーストリア、中国、香港、インドネシ
ア、メキシコ、フィリピン、スウェーデン)。また、
食品、消費財、ホスピタリティ、重工業、エネルギ
ー、運輸、製造業をはじめとする 11 業界でも最重要
のリスクとなっています。
回答者によれば、BI リスクをはらむものとして企業が
最も恐れるのはサイバーインシデントと自然災害であ
り、火災、機械の故障、サプライヤーの倒産がこれに
続きます。
技術の進歩と効率化の推進が、サプライチェーンのレ
ジリエンスに影響を及ぼしています。今日のサプライ
チェーンは、どの部分で障害や混乱が起こっても、そ
の深刻度は以前よりも高く、非常に限られた時間内で
の対応が迫られるようになってきていると話すのは、
Michael BruchGlobal Head of Risk Advisory
Services, Allianz Commercialです
「自動化とデジタル化によりプロセスの大幅な加速が
進んでいますが、最新技術の急速な進歩と複雑さに人
が圧倒されてしまう場合もあります。多くの法人が災
害復旧と事業継続のための包括的な戦略の実施に努め
る一方で、緊急時対応計画自体がテクノロジーに過度
に依存しているのではないかという懸念が残されてお
り、多様で適応性の高いソリューションの必要性が浮
き彫りになっています」。
2024 年には、過去最大規模の CrowdStrike IT 障害
7月)をはじめ、サプライチェーンの大規模混乱がい
くつか起こっています。CrowdStrike のセキュリティ
ソフトウェアの更新の不備により、Microsoft Windows
走るコンピューターが影響を受け、Fortune 500 企業
54 億ドル以上の損害が発生し、保険損害は 5
4,000 万ドルから 10 億ドルに上ると報告されていま
1
企業が最も恐れる事業中断の原因は?
回答トップ 5
サイバーインシデント(サイバー犯罪、IT
ットワークや業務の混乱、マルウェア/ランサ
ムウェア、データ侵害、罰金、罰則など)
自然災害(暴風雨、洪水、地震、山林火災、異
常気象など)
火災/爆発
機械の故障
サプライヤーの倒産
出典:Allianz Commercial
数字は、そのリスクが全回答のうちどのくらいの頻度で選択されたかをパーセンテージで表したもの
です。回答者数 1,177
また、リスク最大3つま選択可能あるため、数字を合算しても 100%とはなりません。
16
世界規模の影響の出るサプラ
イチェーンの混乱はおよそ
1.4 年ごとに発生しており、
増加傾向にあります。
「昨年、CrowdStrike Microsoft の利用者に影響が出
た障害は、IT とソフトウェアのサプライチェーンも停止
する可能性があり、そうなれば、その影響は世界規模に拡
大する可能性があることを思い出させてくれました」と
Rishi BaviskarGlobal Head of Cyber Risk
Consulting, Allianz Commercialは話します。
IT インフラ、ソフトウェア、サービスの運用ではテク
ノロジー企業への依存が高まってきており、CrowdStrike
の事例のような破壊的な出来事が今後さらに起こるものと
予想されます。そして AI と生成 AI の登場により、比較
的少数のテクノロジープロバイダーへの依存度がさらに高
まるでしょう」。
BI 懸念は、サプライチェーンの混乱や地政学的リスクに
よっても高まってきています。Circular Republic が、
Porsche Consulting2AllianzAgora Strategy との協
力の下で発行したホワイトペーパーによれば、世界規模に
波及するサプライチェーンの混乱はおよそ 1.4 年ごとに
発生しており、増加傾向にあります。こうした混乱が生じ
ると、ダウンタイムによる付加的な影響をはじめ、製品コ
ストの最大 5%10%にも及ぶ大きな経済的損害が発生
します。
また、イエメンのフーシ派による紅海での混乱や、干ばつ
によるパナマ運河の通過制限を反映するかたちで、2025
年は海運や輸送への大規模な混乱が高い BI リスクを招く
と捉えられており、過去アリアンツ・リスクバロメータ
よりも重く受け止められています
世界貿易の 90%は海上輸送で行われているため、海運の
混乱によって大きな経済的影響が出る可能性があります。
2021 年に Ever Given のコンテナ船によってスエズ運河
6日間封鎖された際の被害総額 600 億ドルに上った
と推定されています 3
ALLIANZ RISK BAROMETER 2025 | ALLIANZ COMMERCIAL
17
ALLIANZ RISK BAROMETER 2025 | ALLIANZ COMMERCIAL
気候変動の順位が過去最高に
気候変動は順位を 2つ上げて過去最高の 5位となり、
世界の 5大リスクの一つに加わりました。一方で、こ
れと密接に関連する自然災害の脅威は引き続き 3位と
なっています。新型コロナパンデミックの禍中、企業
が差し迫った問題の対応に追われる中、気候変動リス
クと自然災害リスクのランキングは下がりましたが、
コロナ後は再び両リスクに注目が集まっています。
2024 年はまたも異常気象とさまざまな気象観測記録が
更新される年となりました。WMO によれば、昨年の気
温上昇は 1.5℃に達し、記録上最も暑い年になったと
定されています 4。米国、カナダ、スペイン、中央ヨー
ロッパ、アラブ首長国連邦、ブラジルを、活発なハリ
ケーンシーズン、激しい雷雨、洪水が襲い、5年連続で
自然災害による世界の保険損害が 1,000 億ドルを超え
ました。
「私たちが目にしているのは、気候変動が自然災害や
物理的危険と結びついた複雑な状況です。たとえば、
2024 年のハリケーン・ベリルは、6月にカテゴリー4
の暴風雨が発生した初の例であり、カテゴリー5への発
達の最速記録も塗り替えています。昨年スペイン南部
を襲った大洪水の影響も、気候変動によって増長され
ました」と Mabé Villar VegaSenior
Catastrophe Risk Research Analyst, Allianz
Commercial言います
自然災害による損害規模に作用する要因には気候変動
の他に、保険金請求額の増加、資産価値の上昇、人口
動態、レジリエンスなど、複数の要因があります:
「気候変動が要因であるといえるものは一部に過ぎな
いのかも知れませんが、極端な災害の頻度と深刻さが
高まるにつれ、状況の予測がより難しくなってきてい
ます」と Villar Vega は言います。
自然災害のリスク環境にも大きな変革が起きていま
す。これまで主たる災害とされてきた地震や熱帯性低
気圧などは、もはや最大の脅威とは捉えられていませ
ん。これらに代わって、ひょう、洪水、暴風雨、山林
火災など、気候変動と明らかに関連のある二次的な脅
威が重要性を増してきています。2024 年は、対流性暴
風雨による保険損害が米国だけで 500 億ドルに上り
した 5
2024 年の米国のハリケーンシーズンには、ハリケー
ン・ミルトンやヘレンをはじめ、5つのハリケーンが上
陸し、強風、高潮、そして脅威が年々高まってきてい
る内陸洪水による深刻な影響が浮き彫りになりまし
た。ハリケーン被害のうち人命被害と被害額の大きい
ものとして過去 10 年の間に浮上してきたのが大雨とそ
れに伴う洪水で、リスク評価と計画においてこれら二
次的な脅威を優先する必要に迫られています。
2024 年のハリケー
ン・ベリルは、6月に
カテゴリー4の暴風雨
が発生した初の例であ
り、カテゴリー5への
発達の最速記録も塗り
替えています。
18
アリアンツ・リスクバロメーター回答者によれば、
企業が気候変動による大きな影響として最も恐れるの
は、物理的損害と事業中断の 2つです。一方、ESG
サステナビリティ関連リスクのトレンドの中で企業が
最も懸念するものとして、気候変動移行リスク(脱炭
素化やネットゼロ戦略など)の管理が初めて挙がって
おり、膨大な量の規制、政策の不確実性、データ透明
性の問題が最も重大な課題として挙がっています。
Daniel MullerEmerging Risks and Trends
Manager, Allianz Commercialによれば、気候変
動との闘いは社会の最大の課題です「私たちのあら
ゆる行動が影響を持ちます。温室効果ガスの排出を削
減するには、廃棄物の削減、エネルギーの節約、持続
可能な慣行を取り入れるなど、集団として行動を変え
なければなりません」。
パリ協定の目標を達成し、地球の気温上昇を 1.5℃未満
に抑えるための移行がスムーズに行える時点を世界は
とうに過ぎています。その結果、価格と保険可能性と
の釣り合いをとることが難しくなっています。
「ハリケーン、暴風雨、洪水などの被害を受けやすい
地域では、自然災害の負担が地域の行政や納税者にま
すます重くのしかかってくることになるでしょう。頻
繁に発生する事象、あるいは起こりうる事象の保険可
能性と補償の経済性について、気候変動は重大な問題
を提起しています。そのため、行政、保険会社、地域
社会を巻き込んだ損失の防止と軽減対策に早急に重点
を移す必要があります」と Muller 言います。
ポジティブな面としては、物理的対策、自然に根ざし
た解決策、行動の変化などを組み合わせた気候変動に
対するレジリエンス対策を導入する必要性に対する企
業の認識が 事業運営の安全確保、そしてより持続可
能な未来への貢献に役立つという意味でも 高まって
きていることがアリアンツ・リスクバロメーターの結
果から分かります。
同じことが、「自然リスク」(自然生態系の劣化、生
物多様性の喪失、そして「生態系サービス」の減退か
ら生じる、ビジネス、経済、社会への潜在的な悪影響
を指す言葉)の検討にも当てはまります。この認識が
高まっている背景には、気候関連の物理的リスクの開
示を定めた規制の遵守に要するコストの増大や、極端
な気象現象や生態系の劣化によって引き起こされる業
務の混乱があります。
その一方で、干ばつなどの慢性的な危険が事業に及ぼ
す影響はゆっくりと現れることから、過小評価する企
業が依然として数多くあります。同様に、気候変動が
相互依存関係にある老朽インフラに及ぼす影響や、労
働に支障を来すような猛暑などの影響も過小評価され
る可能性があると Lena FuldauerGlobal
Sustainability and Resilience Solutions Lead at
Allianz Commercialは説明します。
19
ALLIANZ RISK BAROMETER 2025 | ALLIANZ COMMERCIAL
ALLIANZ RISK BAROMETER 2025 | ALLIANZ COMMERCIAL
政治リスク/暴力は依然として大きな問題
地政学的、経済的な不確実性が続く中、政治リスク/
暴力を選んだ回答者の割合こそ 2024 年と同じでした
が、順位は前年から 1つ後退して 9位となってい
す。一方、大企業ではより重要なリスクとして 7位に
ランキングされ、中小企業でも 10 位と新たにリスクト
ップ 10 に加わっています。また、フランス、イタリ
ア、英国などの企業では、この危険 2024 年よりも
大きな懸念事項と見なしています(3か国とも政治リス
ク/暴力が 5大リスク入り)。
頻度が高まってきている市民不安や暴動は、混乱の原
因となり、コストもかかるようになってきていること
から、企業が最も恐れる政治リスクとなっています。
従業員や顧客の安全が危険にさらされるだけでなく、
騒乱のすぐ近くに所在する事業所などは、事業中断に
よる損失や財産や資産への重大な損害を被る危険性が
あり、企業としては地区の魅力が損なわれたり、事業
所への立ち入りが禁止されるなど、間接的な損害を被
る可能性があります。
戦争の影響やサプライチェーンの混乱アリアンツ・
リスクバロメーターでは大きな懸念事項となって
り、テロや妨害行為のリスクも高まっています。
Michael BruchGlobal Head of Risk Advisory
Services, Allianz Commercialによれば、政治リ
スクは他のリスクを増幅させる要因となります。「紛
争や地政学的緊張はサプライチェーンの混乱を招き、
物理的な損害を引き起こす可能性があります。ドイツ
のような輸出主導型の経済では、このような地政学的
リスクが経済の安定に重大な影響を及ぼしかねませ
ん。一方で、こうした政治リスクがチャンスを生み出
す場合もあり、企業の中には新しい市場環境に適応
し、それを活かして、効果的に事業を継続している企
業もあります。地政学的状況は複雑で、その動向もさ
まざまに変化する可能性がありますが、機敏性とレジ
リエンスを備える企業は、このような課題に見舞われ
ても業績を上げる方法を見出せる可能性があるでしょ
う」。
貿易紛争、市民不安、軍事紛争などの政治リスクは、
サプライチェーンの安定性を保つ上で大きな課題とな
ります。特に危険にさらされているのが、過去にも貿
易戦争や保護主義の対象となってきたハイテクやグリ
ーンエネルギーの分野です。たとえば、中国は 2023
年に電気自動車に使われるリチウムイオン電池の製造
に不可欠な材料であるグラファイトの輸出を制限して
います。アリアンツ 6などの分析によれば、重要原材料
の輸出規制の件数は過去 10 年間で 5倍に増加してい
す。電気自動車や消費財を構成する製品の中には、中
国への依存度が 91%に上るものもあります。
アリアンツの分析によ
れば、重要原材料の輸
出規制の件数は過去
10 年間で 5倍に増加
しています。
ALLIANZ RISK BAROMETER 2025 | ALLIANZ COMMERCIAL
激しく変化するリスク環境でレジリエンスが引き続き重要に
アリアンツ・リスクバロメーターによれば、企業がサ
プライチェーンのリスクを軽減し、レジリエンスを高
める対策を講じる際に検討する可能性が最も高いの
は、代替サプライヤーや複数のサプライヤーの開拓で
す。地政学的動向に対応するためのサプライヤーネッ
トワークの地理的多様化を挙げた回答者の割合も昨年
より増加しています。
「循環型経済でサプライチェーンのリスクを軽減する
ことは可能ですが、すべてを国内生産、内製化するこ
とにはコストとリソース面で制約があり、現実的では
ありません。「サプライチェーンのリスク管理を行う
には、多様化、戦略的パートナーシップ、技術革新な
どの戦略に根ざした、よりレジリエンスと適応力のあ
るサプライチェーンを構築する必要があります」と
Michael BruchGlobal Head of Risk Advisory
Services, Allianz Commercialは話します。
気候変動の直接的な影響を軽減するために企業が最も
講じている対策は、代替リスク移転を含む保険保護の
適応または強化で、これがトップにランキングされる
のは初めてです。炭素削減ビジネスモデルの採用と、
気候関連の不測の事態に備えた緊急時対応計画の策定
がこれに続きます。排出量を削減するためにクリーン
技術への投資を行っている話す企業も増えています。
しかし、保険料を妥当な価格に保つためには、企業は
損失の防止とレジリエンスにさらに重点を置く必要が
あります。アリアンツでは、専門の気候関連リスク・
エンジニアリング・サービス、および気候適応・レジ
リエンスツールの開発というかたちで、リスク管理お
よび損失防止サービスへの投資とサービスの拡大を続
けています。
損失の防止はリスク管理においてますます重要な側面
になっていると Bruch は話します。「企業はリスク管
理サイクル全体にわたってこれまで以上のサポートを
保険会社に求めています。これはサイバーリスクに関
しては過去数年にわたってはっきりと見られた動きで
すが、今度は気候関連リスクや移行リスクでも同様の
動きが強まっています。これらのリスクへの対処には
損失の防止が重要で、グリーンエネルギーやテクノロ
ジーなどの新たなリスクに対するソリューションの開
発において保険会社が果たす役割が重要となってきま
す」。
「保険会社にとっては、高成長スタートアップ関連の
リスクが増え、リスクの評価と価格設定の基になる過
去の保険金請求データがその分減ることになります
が、お客様がリスクを理解し、損失防止と軽減措置を
講じるうえでのお手伝いができるとともに、リスク管
理のサイクル全体にわたってサポートを提供すること
ができます」。
ビジネス上の意思決定は短期的な性格のものであるた
め、リスク・マネジャーがレジリエンスへのリソース
の投入の妥当性を訴えることが困難になる場合もあり
ます。
「物理的危険や移行リスクに関する保護や損失防止策
への資金投入の成果が見られるのは、数年後、場合に
よっては数十年後になることもあります。私たちは、
企業がさまざまな気候変動シナリオの各種リスクを特
定、定量化し、レジリエンスの強化に向けてリソース
を投入するベストの分野を判断する上で役立つツール
を開発しています」と Bruch は言います。
「保険会社として、レジリエンスと引受業務を結び付
け、それをより具体的にするための取り組みを行って
います。保険業界としては、行動の変化を促すインセ
ンティブを設け、企業と社会のレジリエンスの実現を
支援する能力を高める必要があります」
サプライチェーン・リスクを軽減し、レジリエンスを高めるために貴社や貴社クライアントが行
っていることは?
回答トップ 5
代替/複数のサプライヤーの開拓
地政学的動向に対応するためのサプライ
ヤーネットワークの地理的多様化
事業継続マネージメント体制を始動/改善
サプライチェーンのボトルネックの特定
と改善
サプライヤーの選択、監視、監査、リスク
評価の強化
出典:Allianz Commercial
数字は、そのリスクが全回答のうちどのくらいの頻度で選択されたかをパーセンテージで表したもの
です。回答者数 1,177
また、リスク最大3つま選択可能あるため、数字を合算しても 100%とはなりません。
21
自然災害
(暴風雨、洪水、地震、 山林火災、異常気象など)
これまでのランキング:
前年比増
前年比減
変化なし
オーストリア
クロアチア
ギリシャ
香港
日本
ルーマニア
スロベニア
スペイン
トルコ
次の国で最大のリスク:
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ALLIANZ RISK BAROMETER 2025 | ALLIANZ COMMERCIAL
自然災害による保険損害額は 5年連続で 1,000 億ドルを超えています。そのため、自然災害が
今年のアリアンツ・リスクバロメーターでも引き続き懸念事項のトップ 3にランクインしてい
るのは不思議なことではありません。
ハリケーン・ヘレンやハリケーン・ミルトンに象徴さ
れる、例年を上回る米国のハリケーンシーズン、欧州
の暴風雨ボリス、数カ国で起こった広域の洪水、そし
て日本の能登半島地震などは、世界各国の企業、そし
て保険業界にも、自然災害が大きな脅威であることを
再認識させるものでした。
Swiss Re7によれば、自然災害による 2024 年の経済損
失の総額は 3,100 億ドルに上ります。全世界の自然災
害による保険損害のほぼ 90%を、対流性暴風雨
SCS)、熱帯性低気圧、洪水などの事象が占め、自
然災害による経済損失全体の 85%を占めています。損
害額ベースでは SCS 570 億ドルで最大で、そのうち
510 億ドルが米国内で発生しています。これで米国内
SCS 損害は 2年連続で 500 億ドルを上回ったこと
になります 8
2024 年は記録上最も気温の高い年になったものと推定
されており、世界気温が産業革命以前(18501900
年)の水準を 1.5°C を超えるのは初めてとなりました
92024 年第 13四半期の保険損害の少なくとも
95%を気象および気候事象が占めており、その額は
1,030 億ドルに上ります。さらに、今年はすべての主
要大陸で少なくとも一つの歴史的に特異で極端な気象
または気候現象が発生しています 10
「気候変動が進むにつれて、洪水や干ばつなどの異常
気象は深刻度と頻度が高まるものと予想されており、
これが気候変動アリアンツ・リスクバロメーター
ランキングで 5位に浮上した理由の一つです」と
Mabé Villar VegaSenior Catastrophe Risk
Research Analyst, Allianz Commercialは話し
ます。「損失の増加にさらに拍車をかけるものとし
て、急速な都市化と土地利用の大幅な変化がありま
す。そのため、気候変動の影響を緩和するためのレジ
リエンス対策を計画し、それに投資することが不可欠
です」。
2024 年の主な自然災害の脅威
カルガリーのひょう嵐
2024 8
経済損失:30 億ドル
保険損害額:20 億ドル
2024 年を通して米国で
対流性暴風雨が発生
経済損失:640 億ドル
保険損害額:510 億ドル
ハリケーン・ヘレンとハ
リケーン・ミルトン
2024 9月~10
経済損失:940 億ドル
保険損害額:410 億ドル
暴風雨ボリス
2024 9
経済損失:200 億ドル超
保険損害額:2030
ドル
台風ヤギ(11 号)
2024 9
経済損失:163 億ドル
保険損害額:40 億ドル
能登半島地震
2024 1
経済損失:120 億ドル
保険損害額:30 億ドル
台風サンサン(10 号)
2024 8
経済損失:10 億ドル未満
保険損害額:10 億ドル未
台風ガエミ(カリーナ、3
号)
2024 7
経済損失:26 億ドル
保険損害額:10 億ドル未満
アラビア湾の突発洪水
2024 4
経済損失:86 億ドル
保険損害額:30 億ドル
スペインの突発洪水
2024 10
経済損失:110 億ドル
保険損害額:40 億ドル
ブラジルの山林火災
2024 8月~9
経済損失:10 億ドル未満
保険損害:情報なし
ブラジル南部の洪水
2024 4月~5
経済損失:76 億ドル
保険損害額:20 億ドル
チリの山林火災
2024 2
経済損失:10 億ドル
保険損害額:10 億ドル
未満
地震
対流性暴風雨
山林火災
洪水/突発洪水
熱帯性低気圧
出典:Gallagher Re, Natural Catastrophe and Climate Risk Report(自然災害および気候リスクレポート)」;Insurance AsiaTyphoon
Gaemi causes multi-million-dollar losses in Asia(台風ガエミがアジアで数百万ドルの損失を引き起こす)」; Artemis, Typhoon Shanshan
seen as unlikely to trouble cat bonds or ILS positions(台風サンサンが CAT ボンドや ILS のポジションに悪影響を及ぼす可能性は低いとみら
る)」;Southbridge, Mayor aseguradora contra incendios: 「*Hemos recibido pocas denuncias de siniestros... había baja cobertura」;
ReutersEconomic impact of floods in Spain could rise to over 10 bln euros(スペイン洪水の経済的影響は 100 億ユーロを超える可能性も)
2024 11 5日」
23
2024 年の主な事象
ハリケーン・ヘレン9月にフロリダ湾岸のビッグ
ベンド地域にカテゴリー4の暴風雨として上陸し、
破壊的な強風と高潮をもたらしました。最も深刻な
影響を受けたのは南部アパラチア山脈一帯で、ここ
では記録的な洪水により数百人の死者が出て、数十
億ドルもの物的損害が生じました。経済損失は現在
560 億ドルになると推定されており、保険損
160 億ドル近くに達しています 11
ハリケーン・ミルトン:ハリケーン・ヘレンのわず
2週間後、カテゴリー3の大西洋暴風雨としてフ
ロリダ州サラソタ郡に上陸し、熱帯性低気圧からカ
テゴリー5のハリケーンへと記録的な早さで勢力を
強めました。このハリケーンによる経済損失は現在
380 億ドルと推定されており、保険損害は 250
億ドルに上り、保険会社各社にとっては今年最も高
額な暴風雨となりました 12
米国では対流性暴風雨(SCS2年連続で損害の
大きな要因となっています。2024 年には 1,600
を超える SCS が報告されており、そのうち 10 億ド
ル以上の損害を引き起こしたものが少なくとも 15
個、損害が少なくとも 50 億ドルに達し SCS 2
個ありました。2023 年と 2024 年を併せた米国内
SCS による損失は現在 1,140 億ドルを超えて
り、熱帯性低気圧による米国本土の損害としてこれ
を上回った期間は過去に 2回しかありません
2004/2005 年と 2020/2021 年)13
カナダでは、自然災害によって保険各社の損害額が
過去最大となり、その額は 60 ドルを超えていま
す。8月にカルガリーで発生したひょう嵐では、大
きさが 7センチを超えるひょうも観測され、保険金
ベースで 22 億ドルというカナダ国内史上最高額の
SCS となりました。オンタリオ州とモントリオール
では、ハリケーン・デビーの余雨によって引き起こ
された異常な降雨により大規模な洪水が発生し、保
険損害は 19 億ドルを超えました 14。その他の注
すべき出来事としては、いずれも 7月に発生したト
ロントの洪水とジャスパー山林火災があります。
暴風雨ボリス:非常にゆっくりと移動する低気圧が
豪雨を引き起こし、ポーランド、チェコ共和国、ス
ロバキア、オーストリア、ハンガリー、スロベニ
ア、ルーマニア、イタリアなどの国々で大規模な洪
水が発生。保険損害は 20 億~30 億ドルの範囲にな
ると予想され、経済損失は 200 億ドルを超えると
予想されています 15。アルプスの多くの地域では観
測史上最も早い降雪が観測されました。一方で、特
に大都市部における近年の洪水防御対策の整備が、
経済損失と人的被害の両方を効果的に削減するのに
役立っており、レジリエンス対策への資金投入の重
要性を浮き彫りにしました。
この他の洪水事象としては、10 月にスペイン東部
と南部で発生した激しい突発洪水が挙げられます。
この洪水はバレンシアやアリカンテなどの人口密集
地域に深刻な被害をもたらし、数百人の死傷者を出
し、保険損害は 40 億ドルを超えると予想されてい
ます 164月、アラビア半島で発生した突発洪水で
は、アラブ首長国連邦 75 年の観測史上最大の降雨
量を記録し、保険損害は 30 億ドル近くに上りまし
17。ブラジル南部では、異常降雨によりポルトア
レグレで過去 80 年で最悪といわれる洪水が発生し
ています。数百万ヘクタールの農作物が失われ、保
険損害は 20 億ドルに達すると推定されており、洪
水災害としては過去最大の損害額となりました。ア
フリカでは、モンスーンの北上により西サハラ地方
に大量の降雨が発生し、これが招いた異常な洪水シ
ーズンでは何千もの家屋、家畜、農業に広範囲の被
害が生じました。チャド、ナイジェリア、マリ、ニ
ジェールでの降雨の総量は過去数十年で最大となり
ました 18
アジアでは2024 年の最も被害額の大きい地震が
2つ発生しています。日本の能登半島のマグニチュ
ード 7.5 の地震では保険損害が 30 億ドル 19 に上
り、経済損失は 120 億ドルに達しました。台湾
花蓮では 4月に M7.4 の地震が発生し、少なくとも
30 億ドルの経済損失が出ています
台風ヤギ、ガエミ、サンサンでは、フィリピン、ベ
トナム、中国、タイ、ミャンマー、台湾、北朝鮮、
日本など、複数の地域に影響が出ました。上陸台風
による東アジア各地の経済損失は合計で 200 億ド
ルを超えると推定されています。ハリケーン・ベリ
ルに次いで、2024 年の世界で 2目に勢力の強か
った熱帯性低気圧となった台風ヤギは、ベトナム史
上最も被害の大きい気象現象となり33 億ドルの
経済損失をもたらしました 20
山林火災:チリのバルパライソ、オイギンス、アラ
ウカニア地方で発生した壊滅的な山林火災 21 では、
10 億ドル以上の経済損失が発生し134 人の死者
が出ています。ブラジルでは記録的な数の山林火災
が発生し、広範囲に被害をもたらし、大気汚染を引
き起こし、数億ドルもの経済損失が発生していま
す。
米国の中部と西部で起こった干ばつでは、数十億ド
ルの経済損失が発生するものと予想されています。
南米のアマゾン川流域やパンタナール湿地帯、さら
にはアフリカ南部の大部分も深刻な干ばつに見舞わ
れました。
ALLIANZ RISK BAROMETER 2025 | ALLIANZ COMMERCIALL
24
ALLIANZ RISK BAROMETER 2025 | ALLIANZ COMMERCIAL
法規制の変化
(新たな指令、保護主義、環境、社会、ガバナンス、サステナ
ビリティ関連要件など)
これまでのランキング:
前年比増
前年比減
変化なし
カメルーン
ハンガリー
マレーシア
ジンバブエ
次の国で最大のリスク:
ALLIANZ RISK BAROMETER 2025 | ALLIANZ COMMERCIAL
25
ALLIANZ RISK BAROMETER 2025 | ALLIANZ COMMERCIAL
欧州ではサステナビリティ報告の要件が重要議題となっている一方で、米国では特に暗号通貨
や人工知能(AI)に関して大仰ともいえる発表が行われており、これに行動が伴えば「規制の
無法地帯」になるリスクもあります。またその間に、関税の可能性も迫ってきています。
さらに、少なくとも大西洋の両側の新政権の発表を信
じるならば、2025 年は脱官僚主義の年となるはずで
す。再選された欧州委員会委員長ウルズラ・フォン・
デア・ライエン氏は、官僚主義的手続きの削減を約束
しています。そして、次期大統領ドナルド・トランプ
氏は、規制のジャングルを根本的に削減するために、
イーロン・マスク氏が率いる政府効率化省(DOGE)と
いう新たな省を創設しています。
しかし、多くの企業がこれに懐疑的な見方をするのは
的外れなことではなく、アリアンツ・リスクバロメー
ターでも法規制が依然としてトッ 4のリスクにラン
クインしています。それはなぜでしょうか?まず、官
僚主義的手続きを緩和するという約束は、ブリュッセ
ルの官僚機構がこれまでに何度も発してきたもので
す。競争力強化を目的とした「規制負担の軽減」を中
心テーマの一つに掲げた通称「リスボン戦略」の採択
も、実に 2000 年にまで遡ります。そして、この文脈
では他の問題も生じています 新たな規制のかなりの
部分がサステナビリティに関するものであり、その中
でも最重要なものとして企業持サステナビリティ報告
指令(CSRD)があります。
「これらの報告義務が関係企業に新たな負担を強いる
ことになることは疑いの余地がありません。一方で、
CSRD データは気候関連リスクの透明性を高めるのに
役立ちます」と Ludovic SubranChief
Investment Officer and Chief Economist at
Allianzは話します。「たとえば、銀行や保険会社な
どの機関投資家が、投資先の排出量や適応の道筋につ
いてほとんど、または全く把握せずに、自社のポート
フォリオをパリ協定の気候目標に合わせることなどで
きるでしょうか?企業が、自らが享受する生態系サー
ビスに関する知識を持たずに生物多様性保護施策を機
能させることなどできるでしょうか?また、その知識
がないことによる生物多様性保護への障害は?
「この意味で 2025 年は、規制疲れと気候疲れとが不
合理な同盟として合流し、こうすることが欧州の競争
力に役立つという誤った物語に追従していく『正念
場』の年となる可能性もあります」。実際には、欧州
が競争力を強化するためには、グリーン・トランスフ
ォメーションを弱体化させるのではなく、強化しなけ
ればならないのです。その意味で、CSRD は資本配分
を正しい方向に導く上で不可欠かつ非常に必要なツー
ルと捉えるべきです」。
ただし、これとはまた別のサステナビリティ関連の重
要規制である企業サステナビリティ・デューデリジェ
ンス指令(CS3D)に関しては、状況が多少異なりま
す。この規制のバリューチェーン全体に対する報告要
件は間違いなく過剰であり、望ましくない結果につな
がる可能性さえあります。EU 業がリスクの高い市場
から撤退し、貧しい国は発展を阻害され、サプライヤ
ー基盤の集中化につながる可能性があります。CS3D
には全面的な見直しが必要だと Subran は言います
欧州はグリーン・トラン
スフォメーションを弱体
化させるのではなく、強
化しなければなりません
26
ALLIANZ RISK BAROMETER 2025 | ALLIANZ COMMERCIAL
規制緩和から貿易戦争へ
アメリカの状況は?アメリカでは懸念が逆の方向に向
く傾向にあるようです。大仰ともいえる発表に実際に
行動が伴えば「規制の無法地帯」になるリスクがあ
り、これは、とりわけ暗号通貨と人工知能(AI)に当
てはまります。暗号通貨がマネーロンダリングや金融
犯罪に非常に脆弱であることはこれまでの歴史が示し
ており、これに厳格な規制と監視を課することは正当
なことです。AI にも同じことが当てはまります。汎用
テクノロジーである AI は、良くも悪くも生産性を新た
なレベルにまで引き上げるのに役立ちます。ソーシャ
ルメディア上でのフェイクニュースの拡散は(危険
な)一例にすぎません。ガードレールなしで AI を開発
して適用するのは良い考えとは思えません。しかし目
を転じると、残念なことに、米国からは関税という新
たな「規制」の波が迫ってきています。その影響は
(過剰な)規制の場合とほぼ同じで、影響を受けるす
べての企業のコストが上昇することになります。
「結局のところ、規制緩和は原則的には良い考えです
が、問題は細部にこそ潜んでいるものです。すべての
規制が本質的に『悪い』わけではありません。多くの
場合、企業経営に困難を招いているのは規則を履行す
るための業務なのです。規則の数だけでなく、コンプ
ライアンスを可能な限り容易にする効率的な行政にも
重点を置くべきです」と Subran は言います。
「行政の徹底したデジタル化は急務ですが、2025 年に
なっても、おそらくデジタル化に対応したデジタル戦
略が策定されることはないでしょう。代わりに、貿易
戦争が起ころうとしています。確かに見通しは明るく
はありません」。
27
ALLIANZ RISK BAROMETER 2025 | ALLIANZ COMMERCIAL
気候変動
(地球温暖化による物理的なリスク、業務リスク、財政リスクなど)
イバ
これまでのランキング:
前年比増
前年比減
前年
変化なし
ALLIANZ RISK BAROMETER 2025 | ALLIANZ COMMERCIAL
28
ALLIANZ RISK BAROMETER 2025 | ALLIANZ COMMERCIAL
このリスクは 2025 年に過去最高の順位に達しました。異常気象による物理的損害や事業中断
は企業が最も恐れる影響であり、一方で、移行リスクの管理が今後重点的に取り組むべき重要
な分野となっています。
2024 年はまたも異常気象とさまざまな気象観測記録が
更新される年となりました。世界気象機関(WMO)に
よれば、昨年の気温上昇は 1.5℃に達し、記録上最も暑
い年になったと推定されています 22。米国、カナダ、
スペイン、中央ヨーロッパ、アラブ首長国連邦、ブラ
ジルを、活発なハリケーンシーズン、激しい雷雨、洪
水が襲い、5年連続で自然災害による世界の保険損害が
1,000 億ドルを超えました。対流性暴風雨による 2024
年の保険損害は米国だけで 500 億ドルに上りました
23
そのため、気候変動が 2025 年に大きな懸案事項にな
っていることも驚きではありません。気候変動は世界
のリスクトップ 10 内で最も大きな動きを見せ、順位を
2つ上げて 5位となり、14 年間の調査で最高のラン
ングとなっています。前年に比べてこのリスクの順位
が高まった国は、オーストラリア、ベルギー、カナ
ダ、クロアチア、インド、ケニア、マレーシア、モー
リシャス、モロッコ、オランダ、ポルトガル、ルーマ
ニア、スロベニア、南アフリカ、スイス、タイなどで
す。
また、中小企業(年間収益 1億ドル未満)でも大きな
懸念事項となっており、前年から 3つ順位が上昇して
6位となっています(44 ページを参照)。
「極端に激しい事象による世界の保険損害、特に数十
億ドル規模の事象が増えています 24 Lena
FuldauerGlobal Sustainability and Resilience
Solutions Lead at Allianz Commercialは話しま
す。「この傾向の最大の動力源となっているのは、都
市化や資産価値の上昇などの社会経済的要因ではあり
ますが、さまざまな気候帰属の研究で証明されている
ように、多くの大規模で極端な事象の頻度や深刻度が
増加しているのは気候変動のためで 25」。
事象帰属研究とは、気候変動によって特定の極端な事
象の発生率や強度が増した(または減った)程度を計
算によって導くものです。
気候変動の影響の中で貴社/業界が最も恐れるものは
回答トップ 5
急性の物理的影響(例:異常気象による生
産拠点への被害)データ侵害
環境への影響(極端な寒暑、資源の不足、
生物多様性の喪失、生物圏の汚染など)
市場への影響(例:原材料、製品、サー
ビスの価格の変化、顧客行動の変化)
財務的影響(不遵守による罰金など)
出典:Allianz Commercial
数字は、そのリスクが全回答のうちどのくらいの頻度で選択されたかをパーセンテージで表したもの
です。回答者数 716
また、リスクは最大3つまで選択可能であるため、数字を合算しても 100%とはなりません。出で
事業中断の影響(例:サプライチェーンの
ボトルネック、異常気象による物流の混
乱)
29
ALLIANZ RISK BAROMETER 2025 | ALLIANZ COMMERCIAL
回答者の意見
企業の課題は数多くあります。気候や自然に関連する
リスクが増え続け、多くの企業でその認識が高まる
中、移行リスクの管理、気候関連の物理的リスクの開
示を定めた規制の遵守に伴うコスト増、あるいはさら
に極端な気象現象や生態系の劣化によって引き起こさ
れる業務混乱への対処など、財務面での影響もますま
す顕著になってきています。
アリアンツ・リスクバロメーター回答者によれば、
企業が最も恐れる気候変動による 2つの影響は物理的
損害と事業中断で、それはこれらが収益性、ダウンタ
イム、生産業務、サービス提供に影響する可能性があ
るからです。
環境への影響(極端な寒暑、資源の不足、生物多様性
の喪失、生物圏の汚染など)は 3目にランキングさ
れています。極端な寒暑はエネルギー需要を押し上げ
る可能性があり、これは冷却システムが必要な産業に
とっては特に重要なことで、運転コストの増加につな
がる可能性があります。水不足は事業運営に水を必要
とする企業を脅かす可能性があり、生物多様性の喪失
は、農業や作物の収穫量維持などの多くの産業が依存
する生態系サービスを弱体化させる Fuldauer は説
明します。
企業が気候変動による大き
な影響として最も恐れるの
は、物理的損害と事業中断
2つです。
アリアンツ・リスクバロメーターでは、ESG/サステ
ナビリティ関連リスクの動向の中で企業が最も懸念す
るものとして、気候変動移行リスク(脱炭素化やネッ
トゼロ戦略など)の管理が初めて挙がっています。膨
大な量の規制、報告要件の増加、政策の不確実性、デ
ータの透明性などが、最も重大な課題として挙がって
います。
貴社や貴社クライアントが最も懸念する ESG/サステナビリティリスクのトレンドは?
回答トップ 5
気候変動移行リスク(脱炭素
化やネットゼロ戦略など)
規制と開示要件の強化
会社の労働条件(例:健康
と安全、従業員の離職)
気候関連の物理的リスク(損
害など)
出典:Allianz Commercial
数字は、そのリスクが全回答のうちどのくらいの頻度で選択されたかをパーセンテージで表したもの
です。回答者数 3,778
また、リスク最大3つま選択可能あるため、数字を合算しても 100%とはなりません。
サイバーセキュリティのレ
ジリエンス
30
ALLIANZ RISK BAROMETER 2025 | ALLIANZ COMMERCIAL
緩和策
新型コロナパンデミックの禍中、企業が差し迫った問
題の対応に追われる中、気候変動リスクのランキング
は下がりましたが、コロナ後は再び気候変動リスク管
理に注目が集まっています。
回答者によれば、気候変動の直接的な影響を軽減する
ために企業が講じている上位 3つの対策は:保険保護
の適応または強化(代替リスク移転を含む)、炭素削
減ビジネスモデルの採用(リサイクルと廃棄物の削
減、持続可能な移動の奨励、より持続可能なサプライ
チェーンの開拓など)、および気候関連の不測の事態
に備えた緊急時対応計画の策定(対応と復旧、重要シ
ステムとリソースの評価など)となっています。排出
量を削減するためにクリーン技術への投資を行ってい
ると話す企業も増えています。
アリアンツ・リスクバロメーター結果からも、企業
の事業運営を守り、より持続可能な未来への貢献に役
立つ気候変動レジリエンス対策を導入する必要がある
との認識が企業でも高まっていることが分かります。
干ばつなどの慢性的な危険が事業に及ぼす影響は、ゆ
っくりと現れることから過小評価されがちで、これは
気候変動が相互依存関係にある老朽インフラに及ぼす
影響や、労働に支障を来すような猛暑などの影響につ
いても同じことがいえます。
レジリエンスの構築は、規制の遵守やリスク報告を超
えて、企業の資産、従業員、業務を保護するための積
極的な対策にまで及ぶと Fuldauer は説明しており
企業が採用できるレジリエンス戦略の主なカテゴリー3
つを概説しています。
物理的な対策は、インフラや資産を気候関連リスクか
ら守るための直接的な行動です。その例としては、防
潮堤、防波堤、洪水に耐える建築資材などが挙げられ
ます。自然に根ざした解決策には、気候関連リスクを
軽減するために自然の生態系を回復または保護するこ
となどが関わってきます。たとえば、緑豊かな開かれ
た空間は空気を冷やす働きがあり、舗装されていない
場所では雨水の流速が下がります。行動の変化も、効
果的なレジリエンス戦略を推進する上で不可欠です。
この中には、緊急時対応計画の策定と実践、異常気象
時の対応に関する従業員のトレーニング、ベストプラ
クティスに関する地域社会に向けた教育などが含まれ
ます。
ALLIANZ COMMERCIAL
グローバルリス
ク・ダイアログ
企業リスクと保険の視点か
らの分析と洞察 ALLIANZ
COMMERCIAL
ダウンロード↘
気候変動へのレジリエンスサービ
スと自然リスクの詳細について
は、グローバルリスク・ダイアロ
グをご覧ください。
気候変動の直接的な影響を軽減するために貴社が講じている対策は?
回答トップ 5
保険保護の適応または強化(代替リスク移転を含む)
気候関連の不測の事態に対する緊急時対応計画の作成
(対応と復旧、重要なシステムとリソースの評価な
ど)
異常気象への対応能力向上のための対策の導入(物
理的な敷地保護の強化、レジリエンスの構築など)
排出量を削減するためのクリーン技術への投資(炭素
回収、貯留など)
出典:Allianz Commercial
数字は、そのリスクが全回答のうちどのくらいの頻度で選択されたかをパーセンテージで表したもの
です。回答者数 716
また、リスク最大3つま選択可能あるため、数字を合算しても 100%とはなりません。
炭素削減ビジネスモデルの採用(リサイクルと廃棄物
の削減、持続可能な移動の奨励、より持続可能なサプ
ライチェーンの開拓など)
31
ALLIANZ RISK BAROMETER 2025 | ALLIANZ COMMERCIAL
火災/爆発
これまでのランキング:
前年比増
前年比減
変化なし
マレーシア
セネガル
スペイン
タイランド
次の国で最大のリスク:次の
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32
ALLIANZ RISK BAROMETER 2025 | ALLIANZ COMMERCIAL
火災ほど破壊的なものはほとんどありません。多額の損害を引き起こすだけでなく、業務の無
期限の中断を招く可能性もあるため、これまでも世界の企業のリスクトップ 10 に必ずランク
インしていました。
企業は火災のリスクを十分に理解しており、適切なリス
ク管理が行われていることが通常です。しかし、特に半
導体チップや自動車部品などの重要部品の調達が地理的
に、または少数のサプライヤーに集中しているような場
合、火災が事業中断(BI)やサプライチェーンの混乱の
大きな要因となることは今でもあります。
アリアンツ・リスクバロメーター回答者によれば、火
災は企業が最も恐れる事業中断の原因の 3位に入ってい
ます(回答者の 43%。サイバーインシデント[49%]と
自然災害[49%]に次ぐ)。一方、アリアンツ・コマー
シャルが 2023 年までの 5年間にわたる 1,000 件を超え
BI 保険業界の保険金請求(13 米ドル超)を分析し
たところ、これらの請求の原因として最も頻繁に挙がっ
ていたのは実に火災であり、金額としては全体の 3割以
上(36%)を占めていることがわかりました。
他の多くの被害よりも復旧に時間がかかる可能性がある
ので、混乱の程度が非常に大きくなる場合があり、サプ
ライヤーへの影響が大きくなることもしばしばです。た
とえば、可燃性や爆発性の高い物質を取り扱う製薬業界
や化学業界では、損傷した工場を再建し、生産を再開し
てフル稼働に至るまでに何年もかかることがあります。
また、電化とリチウムイオン電池の普及によっても火災
のリスクは高まっています。近年、これらの電池の不適
切な取り扱い、保管、輸送が、陸上や海上での火災事故
の増加を招いています。
予防措置、消火方法、緊急時対応計画などを盛り込んだ
堅実な防火対策を設け、これを定期的に評価、更新して
いくことは、どのような事故であっても、そこから生じ
る損害のリスクを低減する上で不可欠であるという認識
はすべての企業に共通しています。
火災/爆発が世界 5大リスクの一つとしてラン
キングされている業界は次の通りです:
農業
エンジニアリング、建設、不動産
重工業
製造業(その他産業)
海運と海運
石油とガス
再エネ
小売・卸
33
ALLIANZ RISK BAROMETER 2025 | ALLIANZ COMMERCIAL
マクロ経済の動向
(インフレ、デフレ、金融政策、緊縮財政など)
これまでのランキング:
前年比増
前年比減
変化なし
ブルンジ
ガーナ
次の国で最大のリスク:
ALLIANZ RISK BAROMETER 2025 | ALLIANZ COMMERCIAL
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ALLIANZ RISK BAROMETER 2025 | ALLIANZ COMMERCIAL
昨年は注目を集める選挙が数多く行われました。2025 年には、これら新政権が今後の方向性
を定め、それが成長と繁栄に及ぼす長期的な影響は大きなものとなります。
2025 年の世界経済の成長に関しては、特に新しい要素
はありません。2年前の世界経済の成長率は 2.8%でし
た(2024 年:2.8%)。では、2025 年の予想は?
アリアンツ・リサーチによれば 2.8%です。地政学的リ
スクと金利上昇の逆風が吹いていますが、成長を減速
させるところまでは至っていません。そのため、今年
アリアンツ・リスクバロメーターで多くの企業がマ
クロ経済の動向をビジネスリスクとして比較的低く見
ており、7位に順位が後退していることに不思議はあり
ません。世界経済は安定軌道にあるようです。しか
し、これは世界経済成長率の表面だけのことで、表面
下には多少の混乱が生じています。
中国を例に挙げると、極めて重要な不動産市場の構造
的な問題が、過去 2年間にわたりセンチメントと成長
の両面で根強い足かせとなっています。あるいはドイ
ツでは、徐々に押し寄せる産業の空洞化により経済が
2年連続で後退しています。これとは対照的に、米国
は予測されていた景気後退が具現化することはなく、
大胆な金利引き上げ政策にもかかわらず、消費者が支
出を抑えることがなかったことを主因に、経済は成長
を続けました。
FRB の政策がインフレ抑制から成長支援へとシフトす
ることになるため、2025 年も状況は大きく変わらない
と思われます。米国経済は比較的堅調に推移するもの
と予想され(+2.3%)、これは新政権の政策が、一
では減税と規制緩和、他方では関税と外国人の本国送
還という、全体として成長中立的なものとなる可能性
が高いためです。もちろん、発表された内容のうち、
実際にどれだけのものが実行されるかはまだ分かりま
せん。一方、ユーロ圏と中国は、貿易戦争の脅威など
により、引き続き潜在成長率を下回る見込みです(そ
れぞれ +1.2%+4.6%)。また、インドと ASEAN
諸国は新規の貿易ルートやパートナーシップの恩恵に
浴するものと考えられるので、新興市場(+4.1%)が
引き続き世界経済の成長エンジンとなるはずです。
大変革期
しかし、これまでもそうであったように、単純な成長
率から全体像を推し量ることはできません。Ludovic
SubranChief Investment Officer and Chief
Economist at Allianzによれば、ほとんどの国が大
変革期にある中、成長率が示唆しているのは 物事は現
状通りに進むということです。「たとえば、米国は自
動車中心の再工業化を推進しようとしています。中国
もまた、より内向きな、より消費主導型の経済への移
行を目指しています。そして欧州は、世界的な競争力
とテクノロジー・リーダーシップの確立の基盤となる
ような、グリーン産業を創出する過程にあります。つ
まり、各国のアプローチは大きく異なるのです。グロ
ーバル化の圧力の下で経済モデルが収束する時代は幕
を閉じました。世界経済の分断は、新たな貿易障壁や
制裁の導入だけでなく、繁栄の実現に向けた考え方の
違いにも表れています」。
2024 年には大きな注目を集める選挙が数多く行われ
ました。2025 年は、これら新政権が今後の方向性を定
める年となるでしょう。その影響がただちに現れるケ
ースは少ないものの、成長と繁栄に及ぼす長期的な影
響は大きなものとなります。したがって、さまざまな
動向を注意深く見極め、リスクと機会を適切なタイミ
ングで特定することは、企業にとって有益となりま
す」。
グローバル化の圧力の下で経済モデ
ルが収束する時代は幕を閉じまし
35
ALLIANZ RISK BAROMETER 2025 | ALLIANZ COMMERCIAL
倒産の見通し
世界の企業倒産件数は、過去最高水準で安定する見通し
注目の家庭向けセクター
セクター別に見ると、2024 年の建設業と不動産業の企
業倒産件数が、特に欧州ではスウェーデン、オラン
ダ、フランス、ドイツ、イタリア、そしてアジアでは
日本、さらにカナダと米国の重要市場で著しく増加し
ていることが最新の数字から分かります。
2025 年に事業活動が回復基調に入った主要経済
国では主に金利引き下げによる ことを示す最初の兆
候が見られれば、状況改善の下支えとなるはずです
が、大きな逆風の解消はゆっくりであり、構造的な課
題は今後も解消しない可能性が高いため、各国の数字
を押し上げていくのは、企業数が比較的多く、中小企
業の割合が比較的大きいこのセクターになると考えら
れます」と Lemerle は付け加えます。
大規模倒産:ドミノ倒しに注意
高まる企業倒産件数には大企業の倒産も含まれてお
り、現在も 11社以上のペースで起きています。全
世界の大規模倒産*の件数は 2024 年第 3四半期に過去
最高を記録し(127 件)、パンデミック前の平均レベ
ルを上回りました。
2024 年第 13四半期の大規模倒産件数は前年比で
26%増加しています(344 件)。西ヨーロッパの
2024 年上半期の倒産件数は、アジア太平洋地域や北米
を上回り、世界最多の 127 件(前年比 51 件増)とな
っています。最大規模クラスの倒産に関しては依然と
して米国が最も多く、2024 年第 13四半期におけ
世界の最大規模クラスの倒産件数 20 のうち 9件を占
めています。これにより、これら企業と取引関係にあ
る数多くのサプライヤーを介した倒産のドミノ倒しが
起こるリスクが高まります」と Lemerle は結論付けて
います。
2022 年に+1%2023 年に+7%2024 年に+9%増加
した世界の企業倒産は、2025 年には減少し始めるでしょ
うか?アリアンツ・トレードによれば、これはまだ先にな
ります。3年連続で増加が続き、今後は安定するはずです
が、先進国では特に、高水準で長期化する見通しです。
「世界の企業倒産件数の上昇カーブは止まり、高水準で安
定すると私たちは予想しています。ただし、この安定化
は、地域と国家レベルの動向の不揃いの程度が高まる結果
として生じるものです。2025 年は、大規模経済と小規模
経済とを併せた、世界 GDP の半分以上を占める国々の 10
カ国中 3カ国で、企業倒産が増加すると予想されます。
「来年は、一部の国では減少傾向への反転が見られるはず
ですが、世界の倒産件数は依然として高い水準にとどまる
でしょう」と Maxime LemerleLead Analyst for
Insolvency Research at Allianz Tradeは説明しま
す。
アリアンツ・トレードでは、米国の倒産件数が 2025 年に
4%増加し、2026 年には 6%増加すると予想しています。
ドイツでは、5%増加し、その後 2026 年には 4%減少す
る見込みです。フランスでは、極めて高い水準からわずか
に減少しますが(2025 年に-3%、2026 年に-7%)、そ
の一方で、イタリアでは上昇を続けるでしょう(2025
+6%、2026 年に+1%)。英国では、トレンドの反転
2024 年末に始まっていたことが確認されるはずです
2025 年と 2026 年は両年とも-5%)。中国では、企業
倒産は低い水準から増加し始めるでしょう(2025 年と
2026 年にそれぞれ+3%+6%)。
2025 年の倒産件数の増加率
米国
ドイツ
フランス
イタリア
英国
中国
出典:アリアンツ・トレード
ALLIANZ RISK BAROMETER 2025 | ALLIANZ COMMERCIAL
36 *年間売上高が 5,000 万ユーロを超える企業
ALLIANZ RISK BAROMETER 2025 | ALLIANZ COMMERCIAL
市場動向
(競争の激化/新規参入者、M&A、市場停滞、市場変動など)
これまでのランキング:
前年比増
前年比減
変化なし
ブルガリア
セネガル
次の国で最大のリスク:
ALLIANZ RISK BAROMETER 2025 | ALLIANZ COMMERCIAL
37
ALLIANZ RISK BAROMETER 2025 | ALLIANZ COMMERCIAL
企業は 2年連続でこのような動向に強い懸念を示していますが、多くの専門家が 2025 年に株
式市場が調整局面に入る可能性は低いと考えています。ただし、予想される関税障壁が米国内
M&A に影響を及ぼす可能性があります。
ここ 2年間、市場は重力に逆らうかのような値動きを
てきました。株価は、政治危機や戦争、金利の上昇、国
家債務の急増などをものともせず、何度も最高値を更新
しながら駆け上がっていきました。モットー:常に明る
い面を見ること。たとえば、ドナルド・トランプ氏が第
47 代米国大統領に選出された後、減税や規制緩和の可能
性を見込んで株価が上昇し、関税や外国人の本国送還が
実行される可能性は無視されました。このようなことが
いつまで続くのでしょうか?多くの企業もこのように考
えているようで、アリアンツ・リスクバロメーター
は、市場動向が前年から 1つ順位を上げて、世界で最も
重要なビジネスリスクの 8位に入っています。
もちろん、この問に対する明確な答えはありませんが、
多くの専門家が、2025 年に入っても株式市場が大きな調
整局面に入る可能性は低いと考えています。株式市場は
収益の回復と強固なファンダメンタルズによって支えら
れるはずです。大半の企業は、自社プロセスへの AI ツー
ルの統合を始めたばかりで、AI 関連のあらゆるものの需
要が高まっているため、AI の熱狂が短期間に冷める兆候
は見られません。全体として、2025 年の株式の平均総利
回りは 8%~10%になると予測されています。債券でも
問題が発生する可能性は高くありません。国債利回りは
今後 1年間、概ね安定すると予想されます。政策金利の
低下による下押し圧力は、巨額の財政赤字で相殺される
でしょう。「リズ・トラス・ショック」(持続不可能な
予算計画に対する債券市場の反発)は(まだ)見えてい
ません。
原則として、これはもちろん喜ばしいことで、株式市場
の暴落を望む者は誰もいません。しかし、Ludovic
SubranChief Investment Officer and Chief
Economist at Allianzによれば、ヨーロッパには落と
し穴があります。「関税障壁が今後設けられる可能性を
念頭に、多くの企業が買収などを通じてアメリカ市場で
の直接的なプレゼンスを高めたいと考えています。この
ような試みが、評価額が極めて高く、ドルが強いからと
いって不可能になるわけではありませんが、非常に高額
になることは確かです。したがって同じような理由か
ら、逆の観点から見れば、M&A 場が再び活発化したと
きに方向性を決めるのは、米国企業(および投資会社)
になる可能性が高いでしょう。ヨーロッパの視点からみ
ると、この競争が公平な土俵で行われているとはいえな
いのです」。
市場動向を世界の 5大リスクに挙
げる業界:
化学薬品、医薬品、バイオ医薬品
消費財
政府/公益事業(ヘルスケアを含む)
製造業(自動車)
専門サービス(法律など)
小売・卸
38
ALLIANZ RISK BAROMETER 2025 | ALLIANZ COMMERCIAL
政治リスク/暴力
(政情不安、戦争、テロ、クーデター、市民不安、ストライキ、暴動、略奪など)
これまでのランキング:
前年比増
前年比減
変化なし
コートジボワール
次の国で最大のリスク:
ALLIANZ RISK BAROMETER 2025 | ALLIANZ COMMERCIAL
39
ALLIANZ RISK BAROMETER 2025 | ALLIANZ COMMERCIAL
政治リスク/暴力は順位が 1つ後退したものの、フランス、イタリア、英国などの国では依然
として 5大リスクにランキングされています。企業が最も懸念するのは市民不安であり、中小
企業もこうした脅威がもたらす混乱をますます懸念するようになっています。
アリアンツ・リスクバロメーター世界ランキングで
は、政治リスク/暴力の順位は前年から 1つ後退して
いますが、サンプルサイズを拡大した今回調査でこれ
をリスクに挙げた回答者の割合は 2024 年と変わりま
せん。また、この危険が世界のリスクトップ 10 にラン
クインするのは 3年連続であり、このことはあらゆる
規模の企業にとって重要な懸念事項であることを示し
ています。
2024 年は、この懸念の重要な要因となっていたのは、
世界各国で記録的な選挙の年となったこと、そして選
挙結果の賛否が大きく分かれたこと、政権の交代、中
東の紛争拡大とレバノンへのエスカレーション、そし
てウクライナ紛争の継続でした。特に大企業や中堅企
業では、中国と台湾との間の潜在的な誤算が地域紛争
にエスカレートする可能性にも相応の警戒を払ってい
ました。
「政治リスク/暴力は引き続き世界のリスクトップ 10
に挙がっていますが、それは政治がポピュリズムと非
難と分裂に、地政学がナショナリズムと世界秩序の変
化に支配され、経済がずさんな経営、汚職、そして
『超富裕層』と『富裕層』とそれ以外の人々との格差
の継続的な拡大に支配されているとますます見られる
ようになってきているからです」 Srdjan
TodorovicHead of Political Violence and
Hostile Environment Solutions at Allianz
Commercial言います
「突き詰めると、2019 年以降の変化があまりにも急激
で、企業にはサプライチェーンに対処する時間がほと
んどなく、不確実な環境での事業運営を余儀なくされ
てきたということです。もう一つの要因は、インシデ
ントや問題の規模、場所、期間の予測がほぼ不可能で
あることです。洪水や暴風などの災害と同じような方
法で損失を軽減する準備をしたり、緊急時対応計画や
事業継続計画を策定することが難しいのです」。
テロや妨害行為から生じる課題
一方、特にヨーロッパではテロのリスクが高まってい
ます。ユーロサッカートーナメント、オリンピックと
パラリンピック、さらにはテイラー・スウィフトの記
録破りのワールドツアーなどの大規模イベントに伴う
リスク対応のために警察活動や警備体制が強化され、
公演中止にまで追い込まれた事例もあります。2024
3月、モスクワのクロッカス市庁舎で発生した悲惨な
撃では、140 人以上の死者と多数の負傷者が出て、ヨ
ーロッパで最も死者数の多いテロ攻撃の一つとなりま
した。
「また、妨害行為のリスクも注目を集めています」
Todorovic は付け加えます。「これは、特定業界の企
特に外洋に資産を持つ石油/ス、通信、電力/
共事業など にとって懸念材料として他業界の企業よ
りも特に大きいと思われがちですが、妨害行為のリス
クは実ははるかに広範囲に及びます」。
たとえば、英国バーミンガムの物流会社 DHL(倉庫で
の荷物火災)26 や、ドイツのライプツィヒで最近発生
した事件(貨物機墜落事故)27 では、妨害行為の疑い
が取りざたされました。
ウクライナ紛争が長引き、ロシアの主要同盟国が大き
な損失を被り続ける中(たとえば、シリアのバッシャ
ール・アル・アサド前大統領の転覆)、ロシア、イラ
ン、北朝鮮などによる国家主体の秘密裏の妨害行為へ
と戦線が拡大するリスクが高まる可能性があります。
2019 年以降の変化があまりにも急激で、企業にはサ
プライチェーンに対処する時間がほとんどなく、不
確実な環境での事業運営を余儀なくされてきまし
た。
40
ALLIANZ RISK BAROMETER 2025 | ALLIANZ COMMERCIAL
市民不安 最も懸念されるリスク
アリアンツ・リスクバロメーターによれば、企業が最
も恐れるリスクは、市民不安、ストライキ、暴動、市
民騒乱(SRCCstrikes, riots, civil commotion)の
影響であり、回答者の 51%がこれを最重要リスクと位
置付けています(グラフ参照)。
「これらの危険は特に過去 6年間で頻度と深刻度が増
してきていることから、保険各社もこの見方を同じく
しています」と Todorovic は言います。「2024 年は
SRCC がそれほど話題に上ることはありませんでした
が、英国、ケニア、ニューカレドニア、韓国での出来
事など、世界各国で重大な出来事や損失が発生してい
ます」。
従業員や顧客の安全が危険にさらされるだけでなく、
騒乱のすぐ近くに所在する事業所などは、事業中断に
よる損失や財産や資産への重大な損害を被る危険性が
あり、企業としては地区の魅力が損なわれたり、事業
所への立ち入りが禁止されるなど、間接的な損害を被
る可能性があります。
高まる中小企業へのリスク
大企業(5億米ドル以上)は、リスクを高める要因とし
て政治リスク/暴力を挙げており、企業が何らかの出
来事から受ける影響にはさまざまな道筋や地域的要件
が絡んでいるため、政治リスク/暴力が前年から順位
を上げて 7位に浮上しています。また、これは世界の
中小企業(1億ドル未満)では新たにリスクトップ 10
に加わり 10 位に、中堅企業(1億ドル超~5億ドル)
では 9位となっています。
中小や中堅企業は、事業範囲が狭かったり、地域性が
高いことが多く、事業所在地で問題が発生した場合、
物的損害、事業中断、サプライチェーンや顧客への混
乱の波及などの潜在的なリスクを軽減することがとて
も難しくなります。また、リスク管理活動や、代替の
買い手や顧客の発掘、生産業務の移転などに向けられ
る予算も少ないのです。
「中小企業や中堅企業でこれらのリスクへの懸念が高
まっていることを如実に反映するかたちで、こうした
リスクへの取り組みの強化がこれらの企業で継続的に
進められています」と Todorovic は言います。
リスク軽減のプロセス
Todorovic によれば、企業は事故などの発生に備えて
安全で堅牢な事業継続計画を確実に実施し、セキュリ
ティを強化し、事故などの影響を受ける可能性のある
在庫を削減して再配置するなど、将来に向けた計画を
立てて従業員と資産を守る必要があります。
小規模でコストの低い管理手法としては、所在地や地
域の出来事や潜在的な問題を監視するということがあ
りますが、政治的暴力の性格によっては状況の予測が
不可能な場合もあり、最終的には企業に行動を起こす
時間がほとんど残されないということもあり得ます。
企業はまた、加入している保険契約でストライキ、暴
動、市民騒乱などのリスクの影響も補償対象になって
いるかどうかを確認する必要があります。
貴社が最も懸念する政治リスクと暴力行為は?
回答トップ 5
市民不安や暴動
サプライチェーンへの影響
テロや妨害行為
保護主義、政府の介入や政権
交代
出典:Allianz Commercial
数字は、そのリスクが全回答のうちどのくらいの頻度で選択されたかをパーセンテージで表したもの
です。回答者数 513
また、リスク最大3つま選択可能あるため、数字を合算しても 100%とはなりません。
戦争
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ALLIANZ RISK BAROMETER 2025 | ALLIANZ COMMERCIAL
新テクノロジー
(人工知能、コネクテッドマシン/自律マシンによるリスクの影響など)
これまでのランキング:
前年比増
前年比減
変化なし
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ALLIANZ RISK BAROMETER 2025 | ALLIANZ COMMERCIAL
サイバーリスクと密接に関連するものとしては、人工知能(AI)をはじめとする新テクノロジ
ーの影響があります。数々のメリットをもたらす AI ですが、これはこのリスク分野が 5年ぶ
りに世界の 10 大懸念事項に復帰した背景の一つでもあります。
OpenAI による 2022 年の ChatGPT の発表以来、AI
技術の開発と応用は飛躍的に加速しています。2024
のマッキンゼーの調査 28 によれば、ほ 3分の 2の企
業(65%)が現在、生成 AI を日常的に使用していると
回答しており、これは 10 か月前の割合のほぼ 2倍で
す。その一方で、AI の導入は、規制やリスク管理が追
いつかないほどのペースで進められています。
AI は急速に進歩しているので、企業には AI を導入し
ないという選択肢はほとんどありません」と Daniel
MullerEmerging Risks and Trends Manager,
Allianz Commercial話します。躊躇すれば競合
社に遅れをとり、貴重な機会を逃すリスクがありま
す。これまでの技術開発は緩やかに進んできたもの
の、今日の AI 環境の変化は急速で、規制や法律の遅れ
も相まって、迅速な導入が求められています。
Rishi BaviskarGlobal Head of Cyber Risk
Consulting,Allianz Commercialによれば、AI
はメリットがある一方で潜在的なリスクもある諸刃の
剣であり、この見方はアリアンツ・リスクバロメータ
の結果にも反映されています。AI 自身の業界や分
野に及ぼす影響について尋ねたところ、回答者の 50%
がリスクよりもメリットの方が大きいと回答してお
り、35%が「どちらでもない」、15%がメリットより
もリスクの方が大きいと回答しています。
サイバーリスクに目を転じてみましょう。AI は、混乱
を引き起こしたり、誤情報を広めたりする目的で犯罪
者や国家によって利用されている一方で、リスクの軽
減、レジリエンスの構築に役に立つツールでもあるの
です。
AI はプロセスと生産性の向上の一助となりますが、
従業員にも影響があり、倫理、プライバシー、サイバ
ーセキュリティなどの面でも未解決の課題がありま
。リスクとメリットのバランスをとらなければなり
ません」と話す Baviskar は、サイバー攻撃の影響を
軽減する上で AI が重要な役割を果たすことになるとも
強調しています。
AI の応用はリスクの防止や軽減に役立つ一方で、意図
しない結果を招く可能性もあると指摘するのは、
Michael BruchGlobal Head of Risk Advisory
Services, Allianz CommercialですAI を利用
することでエネルギーの生成、伝送、消費の効率を高
めることできるので、排出量の削減、ネットゼロへの
移行をサポートするソリューションの開発において重
要な役割を果たします。ただし、AI 体がかなりの計
算能力とエネルギーを必要とすることにも注意するこ
とが重要です」。
ボストンコンサルティンググルー 29 によれば、AI
活用することにより、2030 年までに世界の温室効果ガ
ス(GHG)排出量を 5%~10%削減できる可能性があ
ります。しかし、生成 AI システムは、タスクを完了す
るためにソフトウェアの約 33 のエネルギーが必要
で、Google 2023 年の GHG 排出量は、主にデータ
センターからのエネルギー需要により、2019 年比で
50%近く増加しています 302026 年までに、全デー
タセンターの総電力需要はアイルランドの総電力需要
28%以上相当を占めると予想されています。また、
AI による電力需要の増加に電力網が対応しきれなくな
り、北米では停電が発生する恐れもあります。業界監
視団体である北米電力信頼度協議 31 は、石炭火力発
電所の閉鎖が進む一方で、電力消費は今後 10 年間で
15%増加すると予想しています。
「緩和措置が新たな問題を引き起こしたり、当初の目
的達成に逆効果になることもあります。これは今後大
きな課題となるので、企業はこれらのリスクとリスク
防止対策を総体的に管理する必要があります。AI を活
用したソリューションが、たとえば気候変動関連のリ
スクを、意図せず増大させしまわないようにすること
が重要です」と Bruch は締めくくります。
AI がご自身の業界に及ぼす影響についてどの
ようにお考えですか?
リスクよりもメリッ
トのほうが大きい
どちらでもない
メリットよりもリス
クのほうが大きい
出典:Allianz Commercial
回答者数 1,450
43
ALLIANZ RISK BAROMETER 2025 | ALLIANZ COMMERCIAL
企業規模別の上位リスク
中小企業は、規制の変更、マクロ経済の動向、スキル不足など、より地域的で差し迫ったリスク
を主な懸念と捉えていますが、気候変動や政治リスク/暴力もランキングを上昇しており、これ
まで大企業を悩ませてきたようなリスクの幾つかが、中小企業にも及び始めている兆候が見られ
ます。
大企業(年間収益 5億ドル超)および中堅企業(1
ドル~5億ドル)の上位リスクは世界情勢を反映して
り、サイバー、事業中断、自然災害がリスクのトップ 3
となっています。ただし、大企業の回答者がサイバー
を最大のリスクとして挙げる割合は、中堅や中小企業
よりも高くなっています。(大企業43%、中堅企
業:34%、中小企業:35%)。
大企業は中小企業(1億ドル未満)よりも事業中断に
点を置いており、自然災害、火災、政治リスクをより
重要と考えています。しかし、中小企業は大企業のよ
うな規模や多角化戦略を持たないため、事業中断の影
響は大企業よりも大きくなるのが通常です。中堅企業
と中小企業は一般的に、一社の大口顧客やサプライヤ
ーに過度に依存している場合が多く、事業継続計画を
作成したり、リスク評価を行うためのリソースがあり
ません。
中小企業にとって、法規制の変化は特に大きな懸念事
項で、5位から 2位に急浮上しています(中堅および
大規模企業では 4位)。中小企業ではマクロ経済リス
クに対する懸念も大きく、世界ランキングよりも 2
順位の高い 5位に挙がっています。大企業では、政治
リスク/暴力のほうが大きな懸念事項であり、1つ順位
を上げて 7位となっており(全企業では 9位)、火災
も昨年より 1つ順位を上げて 6位にランクインしてい
ます。
ただし、これまで大企業を悩ませてきたようなリスクの
幾つかが、近年は中小企業にも及び始めている兆候が見
られます。中小企業では気候変動リスクは前年から 3
順位を上げて 6位となり、政治リスク/暴力がリスクト
ップ 10 に新たに加わっています。
「中小企業は一般的に、大企業に比べて気候変動移行や
レジリエンス対策への適応能力や投資能力が低く、リス
ク管理の専門知識も乏しいのです」 Lena Fuldauer
Global Sustainability and Resilience Solutions
Lead at Allianz Commercialは説明します。
「また、少数のサプライヤーや地元の供給元への依存度
が高く、サプライヤーに適応を求める交渉面での力関係
がさほど強くない場合もあることから、インフラの整備
や事業継続計画に投入するリソースが少なく、サプライ
チェーンの柔軟性も低い可能性があります」。
同様に、中小企業や中堅企業では政治リスク/暴力の影
響が、さまざまな理由から大規模な多国籍企業に比べて
はるかに大きくなる可能性がある Srdjan Todorovic
Head of Political Violence and Hostile
Environment Solutions, Allianz Commercial
説明します。
「中小や中堅企業は、事業範囲が狭かったり、地域性が
高いことが多く、事業所在地で問題が発生した場合、物
的損害、事業中断、サプライチェーンや顧客への混乱の
波及などの潜在的なリスクを軽減することがとても難し
くなります。また、リスク管理活動や、代替の買い手や
顧客の発掘、生産業務の移転などに向けられる予算も少
ないのです」。
大企業
のリスクトップ 10*
*年間収益 5億ドル超
出典:Allianz Commercial
数字は、その企業規模についてその
リスクが、全回答のうちどのくらい
の頻度で選択されたかをパーセンテ
ージで表したものです。
回答者数 1,747
また、リスクは最大で 3つまで選択
可能あるため、 数字合算しても
100%とはなりません。
NEW:新たにトップ 10 に加わった
リスク
1 マクロ経済の動向は、実回答数
は新テクノロジーを上回ります。
2 新テクノロジーは、実回答数では
市場動向を上回ります。
順位 パーセント 2024 年ランキ
ング
傾向
1
サイバーインシデント(サイバー犯罪、IT ネットワークや業務
混乱、マルウェア/ランサムウェア、データ侵害、罰金、罰則
ど)
43%
1 (41%)
2
事業中断(サプライチェーンの混乱を含む)
36%
2 (36%)
3
自然災害(暴風雨、洪水、地震、 山林火災、異常気象など)
32%
3 (26%)
4
法規制の変化(新たな指令、保護主義、環境、社会、ガバナン
ス、サステナビリティ関連要件など)
23%
5 (20%)
5
気候変動(地球温暖化による物理的なリスク、業務リスク、財
リスクなど)
19%
4 (23%)
6
火災/爆発
17%
7 (17%)
7
政治リスク/暴力(政情不安、戦争、テロ、クーデター、市民
安、ストライキ、暴動、略奪など
16%
8 (16%)
8
マクロ経済の動向(インフレ、デフレ、金融政策、緊縮財政な
ど)
12%
6 (17%)
9
新テクノロジー(人工知能、コネクテッドマシン/自律マシンによ
るリスクの影響など)
12%
9 (12%)
10
市場動向(競争の激化/新規参入者M&A、市場停滞、市場変動
など)
12%
NEW
中小企業の
リスクトップ 10*
*年間収益 1億ドル未満
出典:Allianz Commercial
数字は、その企業規模についてその
リスクが、全回答のうちどのくらい
の頻度で選択されたかをパーセンテ
ージで表したものです。
回答者数 1,095
また、リスクは最大で 3つまで選択
可能であるため、 数字を合算しても
100%とはなりません。
1 マクロ経済の動向は、実回答数
は気候変動を上回ります。
順位 パーセント 2024 年ランキ
ング 傾向
1
サイバーインシデント(サイバー犯罪、IT ネットワークや業務
混乱、マルウェア/ランサムウェア、データ侵害、罰金、罰則な
ど)
35%
1 (32%)
2
法規制の変化(新たな指令、保護主義、環境、社会、ガバナン
ス、サステナビリティ関連要件など)
28%
5 (21%)
3
事業中断(サプライチェーンの混乱を含む)
26%
3 (23%)
4
自然災害(暴風雨、洪水、地震、 山林火災、異常気象など)
25%
2 (24%)
5
マクロ経済の動向(インフレ、デフレ、金融政策、緊縮財政な
ど)
18%
4 (23%)
6
気候変動(地球温暖化による物理的なリスク、業務リスク、財政
リスクなど)
18%
9 (13%)
7
市場動向(競争の激化/新規参入者、M&A、市場停滞、市場変動
など)
17%
7 (16%)
8
火災/爆発
15%
6 (20%)
9
熟練労働力の不足
13%
8 (16%)
10
政治リスク/暴力(政情不安、戦争、テロ、クーデター、市民不
安、ストライキ、暴動、略奪など
11%
NEW
ALLIANZ RISK BAROMETER 2025 | ALLIANZ COMMERCIAL
44
ALLIANZ RISK BAROMETER 2025 | ALLIANZ COMMERCIAL
参考資料
1 Parametrix, CrowdStrike to cost Fortune 500 $5.4 billion; Insured loss range of $540 million to $1.08 billion
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opportunity for resilient supply chains, October 14, 2024
3 Circular Republic, Porsche Consulting, Allianz, Agora Strategy, Circular Economy as an
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4 World Meteorological Organization, 2024 is on track to be hottest year on record as warming
temporarily hits 1.5°C, November 11, 2024
5 Swiss Re, Hurricanes, severe thunderstorms and floods drive insured losses above USD 100 billion
for 5th consecutive year, says Swiss Re Institute, December 5, 2024
6 Allianz Research, Critical raw materials: Is Europe ready to go back to the future? August 1, 2023
7 Swiss Re, Hurricanes, severe thunderstorms and floods drive insured losses above USD 100 billion
for 5th consecutive year, says Swiss Re Institute, December 5, 2024
8 Gallagher Re, Natural Catastrophe and Climate Report: Q3 2024, October 2024
9 Copernicus, The year 2024 set to end up as the warmest on record, November 7, 2024
10 Gallagher Re, Natural Catastrophe and Climate Report: Q3 2024, October 2024
11 Munich Re, 2024 tropical cyclone season leaves above-average losses in its wake, December 3, 2024
12 Munich Re, 2024 tropical cyclone season leaves above-average losses in its wake, December 3, 2024
13 Swiss Re, Hurricanes, severe thunderstorms and floods drive insured losses above USD 100 billion
for 5th consecutive year, says Swiss Re Institute, December 5, 2024
14 Swiss Re, Hurricanes, severe thunderstorms and floods drive insured losses above USD 100 billion
for 5th consecutive year, says Swiss Re Institute, December 5, 2024
15 Gallagher Re, Natural Catastrophe and Climate Report: Q3 2024, October 2024
16 Reinsurance News, Insured losses from Spain flooding expected to exceed €4bn: Morningstar
DBRS, November 14, 2024
17 Intelligent Insurer, Insured property & auto losses on UAE floods could near $3bn, June 13, 2024
18 Gallagher Re, Natural Catastrophe and Climate Report: Q3 2024, October 2024
19 Gallagher Re, Natural Catastrophe and Climate Report: H1 2024, July 2024
20 Gallagher Re, Natural Catastrophe and Climate Report: Q3 2024, October 2024
21 Gallagher Re, Natural Catastrophe and Climate Report: Q1 2024, April 2024
22 World Meteorological Organization, 2024 is on track to be hottest year on record as warming
temporarily hits 1.5°C, November 11, 2024
23 Swiss Re, Hurricanes, severe thunderstorms and floods drive insured losses above USD 100 billion
for 5th consecutive year, says Swiss Re Institute, December 5, 2024
24 Aon, 2024 Climate and Catastrophe Insight
25 World Weather Attribution, Exploring the contribution of climate change to extreme weather events
26 Sky News, Counter-terror police investigate whether Russia was involved in suspicious package fire at
DHL warehouse in Birmingham, October 17, 2024
27 The Telegraph, Russia suspected of trying to parcel-bomb German aircraft, October 15, 2024
28 McKinsey, The state of AI in early 2024: Gen AI adoption spikes and starts to generate value, May 30, 2024
29 Boston Consulting Group, How AI can speed climate action, November 20, 2023
30 World Economic Forum, AI and energy: Will AI help reduce emissions or increase demand? Here’s
what to know, July 22, 2024
31 Financial Times, AI poses threat to North American electricity grid, watchdog warns, December 17, 2024
ALLIANZ RISK BAROMETER 2025 | ALLIANZ COMMERCIAL
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